賃貸物件を売却する適切なタイミングとは?②
不動産投資を始めると「賃貸経営は始めるときよりも出口戦略の方が難しい」という言葉をよく耳にします。
前回のブログ(10/7)で、賃貸物件の具体的な売却タイミングについて、6つの例のうち2例を紹介させて頂きましたが、本日は残りの4例をご紹介します。
売却タイミング③デッドクロスを迎えるとき
デッドクロスを迎える時期を「賃貸物件を手放すタイミング」と考える賃貸オーナー様も大勢いらっしゃいます。
賃貸経営におけるデッドクロスとは、「減価償却費を元金返済額が上回ってしまう状態」を指します。
デッドクロスになると、帳簿上は利益が出ているのにキャッシュフローがきつくなり、最悪、黒字倒産の可能性もあります。
デッドクロスが起きる原因は、2つあります。
1つ目は、建物や設備の法定耐用年数が過ぎ、減価償却費を計上できなくなることです。
2つ目としては、ローンの返済が進んだ結果、返済額に占める支払い利息の割合が減ることが挙げられます。
支払い利息も減価償却費と同様に経費として計上できます。ただし、一旦デッドクロスを迎えても所有メリットがある場合、継続所有する判断もあり得ます。
例えば、高稼働率の物件を所有しており、価値を高めるリフォームを実施して減価償却費を計上している場合などが該当します。
売却タイミング④大規模修繕を迎えるとき
まもなく大規模修繕の時期を迎えるにもかかわらず、手元資金がない場合は、物件の売却を早めに決断すべきタイミングです。
この状態を放置すると、物件が劣化して稼働率が低下し、さらに経営環境が厳しくなる危険性があります。
この悪循環に陥ると、物件を売りに出しても買い手がなかなか見つからないなど、出口戦略が難しくなってきます。
注意点として、大規模修繕を迎える時期に物件を売りに出した場合、買い手が外壁の塗り直しや設備交換が必要なことを理由に値引き要請をしてくる可能性があります。
状況によっては、修繕費用の一部に相当する金額を値引きするなど、柔軟に対応することが必要な場合もあります。
売却タイミング⑤収支が悪化したとき
これまで十分な家賃収入を得ていたのに、稼働率が急激に低下して収支が悪化したタイミングを「売却のサイン」と捉える不動産投資家もいます。
特に、空室率の上昇の原因が、近隣の大規模な工場や学校の撤退、人口減少による賃貸ニーズの減少である場合は要注意です。
収支がさらに悪化する可能性があるため、早急に出口戦略を探る必要があります。
売却タイミング⑥本業が経営不振のときなど
その他の賃貸物件の売却タイミングとしては、法人や個人事業主が賃貸経営をしている場合、本業の資金繰りが悪化しているために賃貸物件の売却益を運転資金に充てるケースもあります。
ただし、長期的に高稼働を実現している物件であれば、賃貸物件を担保にして融資を受けた方が有利な場合もあります。
また、現在所有している賃貸物件を売却し、その売却益を頭金として新たな賃貸物件を購入するという出口戦略もあります。
この場合、新たな物件に乗り換えた方が「収支や所得圧縮の効果が高いかどうか」をシミュレーションすることが重要です。
ここでご紹介してきたように、一口に「賃貸物件の売却のタイミング」といっても、様々なパターンがあります。
出口戦略は難易度の高いフェーズであるため、顧問税理士の助言や不動産会社の知見・データを参考にしながら、適切な判断をしていく必要があります。
当社では、近隣事例を参考に自動的に価格査定ができるシステムを導入しています。
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