入居者とトラブルにならない家賃交渉のポイントとは②
前回に引き続き、オーナー様が家賃交渉をする際に役立つ情報をお届けします。
家賃の値上げは借地借家法で認められた家主の権利
借地借家法の第32条(借賃増減請求権)では、近隣の相場と比べて家賃が安すぎる場合などに、家主が入居者に対して家賃の値上げを要求する権利を認めています。
ただし、家賃の金額は家主と入居者の合意によって決まるという原則があります。
双方で話し合いがまとまらない場合、簡易裁判所で民事調停が行われ、それでも解決しない場合は裁判で争われることになります。
入居者への家賃の値上げ交渉や民事調停・裁判などで、有力な根拠・証拠となることが多いのは「近隣の家賃水準」です。
そのため、家賃の値上げ交渉を考えたとき、家主がまず行うべきは近隣の家賃相場を調べることです。
調査の結果、設定した家賃が近隣の相場よりも低い場合、家主は家賃交渉を行うことができます。
所有する物件の家賃相場を調べる方法
近隣の家賃相場を調べる方法は、「物件情報検索サイト(賃貸ポータルサイト)で調べる」「管理会社に相談する」です。
1つ目の「物件情報検索サイトで調べる」では、対象エリア、物件のタイプ、築年数、最寄り駅からの徒歩分数などを絞り込むことで、大まかな家賃相場を把握することができます。
また、設定条件(バス・トイレ別や階数など)を細かく設定するほど、より正確な家賃相場を把握しやすくなります。
2つ目の「管理会社へ相談する」では、担当者に家賃の値上げを検討している旨を伝えた上で、家賃相場の情報提供を求めると適切な助言を得られるはずです。
上記の2つの方法のうち、まずは物件情報検索サイトで家賃相場を調べてみて、「競合物件よりも家賃の設定が低そうだ」と感じた場合には、管理会社に相談するのが効率的です。
「原状回復ガイドライン」の具体例~貸主の負担とするべきもの~
以下の掲げるものは、一見すると、借主に負担を求めたいところですが、貸主の負担となるものです。
●通常の住まい方で発生するもの
①家具の設置による床・カーペットのへこみ
②テレビ・冷蔵庫などの後部壁面の電気ヤケ
③壁に貼ったポスターなどによるクロスの変色、日照などの自然現象によるクロス・畳の変色、フローリングの色落ち
④賃借人所有のエアコンの設置による壁のビス穴
⑤設備・機器の故障・使用不能(機器の寿命によるもの)
●建物の構造により発生するもの
①構造的な欠陥により発生した畳の変色、フローリングの色落ち、網入りガラスの亀裂
●次の入居者確保のために行うもの
①次の入居者を確保するために行う畳の裏返し・表替え、網戸の交換、浴槽・風呂釜などの取り換え、破損・紛失していない場合の鍵の取り換え
②フローリングのワックスがけ、台所・トイレの消毒、専門業者によるハウスクリーニング(入居者が通常の掃除を行っている場合)、エアコン内部の清掃
いかがでしょうか。
一昔前なら、借主の敷金から精算していた内容も「原状回復ガイドライン」においては、貸主負担とされています。
次回ブログでは、入居者とのトラブルを回避するための家賃交渉のポイントをご紹介しようと思います。(次回6/26です)
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