長期修繕計画の作成のポイントとは【前編】
長期修繕計画を立てることの重要性
賃貸住宅経営は長期にわたる事業になります。
賃貸住宅が20年先、30年先においても、高い家賃水準を維持し、入居率を維持していくためには、長期にわたる修繕を計画的に実施することがとても重要です。
皆さんも、定期的に人間ドックや健康診断を受けて、何らかの不具合の症状があったときは、お医者さんにかかって適切な治療を受けると思います。
不具合を早期に発見し、早期に治療することで、比較的簡単に、しかも早く、費用負担が少なく、治療できるということは、皆さんもご経験上ご存知だと思います。
賃貸住宅も同様で、定期的に建物の調査を行って、建物の不具合の症状が悪化する前に、定期的にメンテナンスを実施することで、結果的には、少ない費用負担で、建物の健康を維持していくことが出来ます。
不具合が発生するたびに行き当たりばったりの対応をしたり、入居者とトラブルが起きてから慌てて対処したりするなど、無計画な修繕を繰り返して行うことは、応急措置の積み重ねになり、不適切な修繕になったり、結果的に費用が割高になってしまいます。
また、修繕の施されていない物件は、入居者を逃してしまう結果にもつながります。
行き当たりばったりの修繕を繰り返すのではなく、安定した入居を確保するために、長期間にわたり、計画的に修繕を行っていくことが非常に重要です。
その考え方が、「長期修繕計画」です。
今回は、「長期修繕計画」の作り方について解説していきます。
各設備の修繕計画を立てる
長期修繕計画を作成するうえで、一番最初に行わなければならないことは、所有している賃貸住宅の外装や各設備のそれぞれについて、修繕計画を立てていくことです。
一般的な賃貸住宅の場合、定期的に修繕を行わなければならない箇所として、①建物の外回り(屋根、外壁、階段、廊下、外部建具など)、②建物の水回り(給湯器、給排水配管、キッチン、洗面、ユニットバス、トイレなど)、③電気設備(エアコン、インターホンなど)が挙げられます。
それぞれ、どの程度のタイミングで点検や修繕を行うのか、どの程度の周期で交換を行うのかを把握し、修繕や交換を行う場合には、どの程度の費用がかかるのかを調べていきます。
周期や費用を把握する際には、建設業者や設備業者になどの専門家よりヒアリングを行って計画を立てていくとスムーズに調べられます。
なお、設備に関しては、入居者のライフスタイルの変化や、入居者のニーズを踏まえて、交換時にグレードアップ(例えば、ドアベルをモニター付きインターホンに交換するなど)することも考慮に入れながら進めていくことがポイントです。
外装や各設備に関しての修繕計画が出来上がったら、それを一覧表にまとめて、後述する「長期修繕計画書」を作成します。
「長期修繕計画書」は、物件の築年数や物件の修繕履歴、間取り(単身向けか、ファミリー向けか)、構造(木造か、鉄筋コンクリート造か)、世帯数、共用部の大きさなど、様々な要素によって計上する予算や周期が変わってきますので、専門家などのアドバイスも交えながら作成していくとよいでしょう。
さて、次回後編では、皆さんの参考にしてもらうために、実際に事例として「長期修繕計画書」を作成してみようと思います。【次回3/27(水)】
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