改正民法施工後の判例
改正民法施工後の賃貸借契約の法定更新において、極度額の合意がない連帯保証契約は無効であるという保証人の主張が棄却された判例がでました。
そうなるであろうと予想できましたが、簡単に内容をご紹介させて頂きます。
内容
賃貸人Aは、賃借人B1と住宅賃貸借契約を締結し、また、B1の父親B2と連帯保証契約を締結しました。なお、賃貸借契約書には「B2の連帯保証債務について、賃貸借契約が合意更新あるいは法定更新された場合も同様とする。」との約定がありました。
その後、B1が令和1年10月から12月の賃料の不払いがあった為、B2が支払い、さらに令和2年6月までの不払い賃料をB2が支払いました。
その後もB1は、令和2年11月分までの賃料を滞納した為、管理会社がB2支払いを催告しましたが、Bらから支払いがありませんでした。
その間に賃貸借契約は法定更新されたため、B2は本契約の法定更新において極度限額が定められなかったことにより、法定更新後の連帯保証契約は無効と主張しました。
結果
本件連帯保証契約は、改正民法の施工日より前に締結されたものであり、その後、本件賃貸借契約の更新に合わせて保証契約が更新されることもなかったから、改定民法の適用ない。
また、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情は認められないし、本件賃貸借契約が連帯保証債務について「本契約が合意更新あるいは法定更新された場合も同様とする。」と定めていることから、B2において更新後の本件賃貸借契約から生ずるB1の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、B2の主張は採用できない。と判断されました。
まとめ
令和2年4月の民法改正により、極度限額の定めのない個人根保証契約は、民法465条の2の規定により無効となりましたが、民法改正前に締結した連帯保証契約においては、同保証契約が賃貸借契約の更新等に併せ更新されなければ、改正民法の適用がなく、連帯保証人は、民法改正後の賃貸借契更新以降に発生する賃借人の債務も保証する事となります。
また、賃貸借契約書の記載に「本契約が合意更新あるいは法定更新された場合も同様とする。」と定められていることも判決の根拠の1つとなりました。民法改正後の連帯保証契約においてもトラブル防止のため、このような文章を入れておいた方が良いでしょう。
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