空き家仲介の報酬見直しで流通活発化へ
総務省が4月30日付で発表した2023年10月1日現在の住宅・土地統計調査による住宅数概数集計(速報集計)結果によると、我が国の空き家数は900万戸(2018年から51万戸の増加)となり、空き家率の13.8%とともに過去最高となりました。
空き家数のうち、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家数」についても385万戸と2018年と比べ37万戸の増加となり、未利用の空き家についても依然として増加傾向にあります。
国土交通省では昨年12月に「空き家対策特別措置法」を改正して活用拡大を柱とした空き家削減策を推進してきましたが、6月中頃を目途に「不動産業による空き家対策推進プログラム(仮称)」を策定し、不動産の流通促進という観点からの空き家削減策を強化する予定です。
この空き家対策推進プログラムの中で、流通面での参入障壁の一つとして、空き家ビジネスにおける高コスト・低収益という問題があげられており、今回の宅地建物取引業者の報酬見直しにおいて、空き家対策推進プログラム策定に先駆けて流通面での参入障壁を緩和すべく、800万円以下の低廉な空き家や長期にわたる空き家については成功報酬が改正案のように見直されることになります。
建物の売買等に関する受け取り報酬額の一部改正案 抜粋
(1)低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例の改正
低廉な空家等(売買に係る代金の額又は交換に係る宅地もしくは建物の価額が800万円以下の金額の宅地又は建物をいう。)については、宅地建物取引業者は、第二「売買又は交換の媒介に関する報酬の額」の規定にかかわらず、当該媒介に要する費用を勘案して、 第二の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受けることができることとし、この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は30 万円の 1.1 倍に相当する金額を超えてはならないこととする。
(2)低廉な空家等の売買又は交換の代理における特例の改正
(1)の低廉な空家等の売買又は交換の代理については、宅地建物取引業者が空家等の売買又は交換の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額は、第三「売買又は交換の代理に関する報酬の額」の規定にかかわらず、上記(1)の規定により算出した
金額の2倍以内とし、ただし、宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が上記(1)の規定により算出した金額の2倍を超えてはならないこととする。
(3)長期の空家等の貸借の媒介における特例の創設
長期の空家等の貸借の媒介については、宅地建物取引業者は、借主である依頼者から 受ける報酬の額が借賃の1ヶ月分以内(居住用の場合は 0.5 ヶ月分以内(媒介の依頼を受けるに当たって借主の承諾を得ている場合を除く。))である場合に限り、第四の規定により算出した金額を超えて、合計で借賃の2ヶ月分までの範囲で報酬を受けることができることとする。
(4)長期の空家等の貸借の代理における特例の創設
(3)の長期の空家等の貸借の代理については、宅地建物取引業者は、貸主である依頼者から、第五の規定により算出した金額を超えて、借賃の2ヶ月分までの範囲で報酬を受けることができることとし、ただし、宅地建物取引業者が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額(借賃の1ヶ月分以内(居住用建物の場合であって、当該相手方から媒介の依頼を受けており、かつ、当該相手方の承諾を得ていない場合は、 借賃の 0.5 ヶ月分以内)に限る。)と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が借賃の2ヶ月分を超えてはならないこととする。
今回、空き家仲介の報酬見直しが他に先駆けて行われることとなりましたが、空き家流通促進のためには、まず空き家所有者の啓蒙が必要となります。
そういう点で、管理会社が果たすべき役割は今後ますます重要となります。
管理会社としての空き家ビジネスへの積極的な取組みはもちろん、行政による今後のさらなる施策拡充にも期待したいところです。
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