健全な賃貸経営の羅針盤!NOIとは?②
第2回目の今回は、「NOI」と「利回り」との違いについてから紹介していきます。
NOIの計算方法と利回りとの違いについて解説
NOIの算出方法はシンプルです。
下記が計算式です。
NOI=年間の満室時家賃収入–年間の物件運営費–空室期間による損失
たとえば、年間の満室時家賃収入が1,000万円で、運営費が400万円であれば純収益は600万円(空室による損失を含む)となります。
この式のうち、「満室時家賃収入」とは想定した家賃ではなく、「実際に得られた家賃」や「市場調査に基づいた査定家賃」などを指します。
また、「物件運営費」の内訳には管理手数料、固定資産税、火災保険料、共用部の光熱費、定期清掃費などが含まれます。
注意点として、NOIの計算式には減価償却費、支払利息などは含まれません。
その理由は、NOIがあくまで物件の純粋な運用だけで得られる収益を示しているからです。
次にNOIと利回りの違いについて確認してみましょう。
両者の違いをまとめると以下のようになります。
・表面利回り:購入価格に対する満室時家賃収入の割合。経費や空室損は考慮されない。
・実質利回り:経費を考慮しているが、定義が曖昧な場合も多い。
・NOI:実際の物件運用から得られる純粋な収益を示す。
比較してみると、NOIがいかに「経営の分析や判断に最適な指標であるか」をご理解いただけるのではないでしょうか。
NOIによって収益性を客観的に判断することが可能
ここまでの内容で、NOIの基本についてはご理解いただけたと思います。
ここからは、NOIの具体的な活用方法についてお話ししていきます。
経験や知識の少ないオーナー様が陥りがちなのは、「なんとなく黒字だから大丈夫」や「赤字が続いているが原因がよくわからない」といった感覚的な経営です。
このような体質の賃貸経営は、うまくいっているときには問題点が見えくい一方、経営が悪化した際には改善するのが難しい傾向があります。
これに対してNOIを算出し、それに基づいて経営判断を行うことで、「適正な収益を得られているのかどうか」を客観的に判断できます。
もし、収益力が下がっている場合は、状況に応じた改善を行うことでNOIを高めることが可能です。
なお、各地域のNOIについては、IREM JAPAN(全米不動産管理協会 日本支部)のHPにて詳しい調査結果やNOIマップが公表されていますので、そちらを参照しながらご自身の物件の適正なNOIをご判断いただくことも可能です。
今回はこのあたりにして、次回はNOI値を上げるための施策などご紹介します。
(次回 5/28)

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