賃貸住宅が相続税対策になる理由とは!?③
「賃貸住宅が相続税対策になる理由とは!?」と題して、全3回に分けて解説してきましたが、第3回目となる今回はどの程度の節税効果があるのか検証してみます。
相続税節税効果の検証
では、賃貸住宅を建てて相続した場合に、どの程度の相続税を下げることができるのか例をあげて検証してみます。
【計算の条件】
①現金1億円で賃貸住宅を建築
②土地の時価3,000万円
③建物の建設費7,000万円
③土地の借地権割合50%
④満室の状態で相続
⑤対策前の遺産総額は3億円
⑥相続人は配偶者と子供2人
【土地の評価額】
路線価は時価の8割を目途に定められているので、「自用地」として相続税評価額は、時価3,000万円×80%=2,400万円
「貸家建付地」としての評価減が可能となり、以下の評価額となります。
2,400万円×(1-0.5×0.3×1)=2,040万円(土地の相続税評価額)
【建物の評価額】
建物は固定資産税評価額で評価され、今回の場合、建設費の50%の評価とします。
7,000万円で建設した建物の固定資産税評価額は3,500万円。
さらに「貸家」としての評価を下げることができます。
3,500万円×(1-0.3×1)=2,450万円(建物の相続税評価額)
【合計】
土地の相続税評価額2,040万円+建物の相続税評価額2,450万円=賃貸住宅の相続税評価額4,490万円
1億円の現金で賃貸住宅を建築することにより評価額を4,490万円までに下げることができます。(5,510万円の評価減)。
【相続税の節税効果】※下記早見表参照
遺産総額3億円の相続税:2,860万円
遺産総額2.5億円の相続税:1,985万円
5,000万円の評価減による相続税節税効果:875万円
相続税の計算においても入居率の確保が重要
相続税の計算上、賃貸住宅を建築・購入すると、評価が大幅に下がり、相続税対策に有効だといういうことは理解できたと思いますが、建築・購入した賃貸住宅が相続税の節税効果以上に赤字を出していては本末転倒です。
また、高い入居率を保つことは、相続税評価額を計算するうえでも有利に働きます。
相続税対策が目的であっても、周辺の物件の状況やエリア特性をしっかりとリサーチし、管理会社と協力しながら、入居率を上げていくためのリフォームや修繕、設備のグレードアップなどを実行していくことがとても重要となります。
最後に
相続税は、近年、増税傾向にあります。
2015年には基礎控除額が大幅に縮小されました。
さらに、2024年からは、相続税対策として有効であった贈与についても改正(贈与を受けた財産の相続財産への加算される期間が3年から7年に伸びます)が行われます。
今後は、贈与を活用した相続税対策もしづらくなりそうです。
賃貸住宅を利用した相続税対策も改めて脚光を浴びそうですが、賃貸住宅を利用した過度な相続税対策に対して、税務当局も目を光らせています。
賃貸住宅を活用した相続税対策をお考えの方は、必ず、税務の専門家である税理士の意見を聞きながら慎重に計画をするようにお願いします。
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