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2020年12月22日
賃貸経営まめ知識

インボイス制度が与える影響 ②

 2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられたのと同時に「インボイス制度」(適格請求書等保存方式)が導入され、2023年10月からの実施が予定されています。

 昨日からの続きで、このインボイス制度について、不動産業に関連して懸念されるポイントと対策について考えていきたいと思います。

どのように変わるのか?

 これまでは基本的に「何をいくらで購入したか」がわかる請求書があれば仕入税額控除を受けることが出来た(請求書等保存方式)のに対し、インボイス制度がスタートすると、インボイスに記載された消費税額のみが仕入税額控除の対象となるため、税額控除を受けるためには必ずインボイスが必要になります。

 そうであるなら、すべての事業者がインボイスを発行すればいいだけの話にもみえますが、ここで問題となるのが、「インボイスを発行できるのは、税務署に登録された適格請求書発行事業者に限られる」というルールがあることです。そして、適格請求書発行事業者というのは、消費税を納税している事業者となります。

 このことによって、どう影響してくるでしょう。

 昨日の例では、免税事業者である「生産・製造業者」はインボイスを発行できないため、「卸売業者」は仕入税額控除を受けられなくなります。その場合「卸売業者」は7,000円の預かり消費税を全額、国に納める必要があります。

 これは当然、「卸売業者」にとって損になる為、卸売業者としては免税事業者との取引をやめるか、消費税分の値引きを求めてくることになるでしょう。

不動産業界への影響

 では、このインボイス制度は不動産業にどのような影響を及ぼすと予想されるでしょうか。

 まず、住宅の家賃は非課税売上であり、消費税はかかっていないため、住宅用のアパート等を所有しているオーナー様と入居者との間では、インボイス制度が導入されたとしても大きな問題はないかと思います。

 しかし、店舗やオフィスを貸しているオーナー様の場合は、問題が生じてきます。なぜなら、店舗やオフィスの借主は消費税の課税事業者であるケースが多く、家賃には消費税が課せられるからです。この場合、オーナー様が免税事業者でインボイスを発行できないとなると、家賃に上乗せして支払っている消費税を控除できなくなってしまします。

 その結果、テナントが今の店舗やオフィスを引き払い、インボイスを発行してくれる大家さんの物件に転居するか、あるいは控除できない消費税分だけ家賃の減額を求めてくるという可能性があります。

 ただ、不動産の賃貸については、手軽に他の物件に移転することは考えにくいので、消費税分だけ家賃の減額交渉を求められるケースが増えてくるのではないかと考えられます。

POINT

 以上のことから、インボイス制度については、以下のようなポイントを押さえることが大切です。

・賃貸している物件が住宅用のみであれば、免税事業者のままでもとくに大きな問題は生じない。

・店舗やオフィスを賃貸している場合は、免税事業者のままだと不利益を被る可能性があるので、課税事業者になることも検討した方がいいかもしれない。

・但し、これまで免税事業者だったオーナー様が課税事業者になる場合は、益税として受け取っていた部分がなくなるため、そのことによるプラスマイナスをしっかり検討する必要がある。

 インボイス制度の実施まで、まだしばらく時間があるので、よく考える必要がありますね。中京ハウジング(株)では、マンション経営に関するあらゆることの相談に乗っています。お困りの事があれば、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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