住宅セーフティネット改正法について
国土交通省は、令和6年3月8日に第213回国会(常会)へ住宅セーフティネット法等の改正法案を提出し、併せて改正法案の具体案を公表しました。
本改正法案は単身世帯の増加等を要因とする円滑な入居に対するニーズの高まりへの対応や、上記に起因する単身高齢者など要配慮者に対する大家の拒否感低減を目的に提出されています。
皆さまにおかれましては、今後の要配慮者への対応にも関わってくることが想定されますので、ぜひ一度、ご確認ください。
大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備
○終身建物賃貸借の利用促進
→終身建物賃貸借の認可手続きを簡素化へ
○居住支援法人による残置物処理の推進
→入居者死亡時の残置物処理を円滑に行うため、居住支援法人の業務に、入居者からの委託に基づく残置物処理を追加
○家賃債務保証業者の認定制度の創設
→要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者(認定保証業者)を国土交通大臣が認定
※(独)住宅金融支援機構の家賃債務保証保険による要配慮者への保証リスクの低減
○居住サポート住宅による大家の不安軽減
居住支援法人等が入居サポートを行う賃貸住宅の供給促進
○居住サポート住宅の認定制度の創設
→居住支援法人等が、要配慮者のニーズに応じて、安否確認、見守り、適切な福祉サービスへのつなぎを行う住宅(居住サポート住宅)の供給を促進(市区町村長(福祉事務所設置)等が認定)
※生活保護受給者が入居する場合、住宅扶助費(家賃)について代理納付を原則化
※入居するよう配慮者は認定保証業者が家賃債務保証を原則引受け
まとめ
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給促進を目的とした住宅セーフティーネット法については、2007年に制定され、その後2019年にその機能強化のために改正され、今回の改正は2回目となります。
これまではどちらかというと、住宅確保要配慮者側の視点でセーフティーネット住宅の供給増や入居を促進する仕組みづくりが中心であったのに対し、今回の改正内容は、住宅セーフティーネット機能をさらに強化するために、セーフティーネット住宅の供給拡大においてネックとなっている大家側の不安の払拭にかなり踏み込んだ内容となっています。
具体的には、居住支援法人による残置物処理の推進、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者認定制度の創設、居住支援法人等が要配慮者の居住サポートを行う賃貸住宅の供給促進等があり、特に要配慮者のための居住サポート住宅の供給促進については、居住支援法人や市区町村が連携して要配慮者の居住支援を行うことで大家と要配慮者双方が安心して利用できる市場環境の整備を目指しています。
世帯構成の変化や空き家の増加等、市場環境が変化していく中で、増加する単身高齢者や一人親世帯等の要配慮者入居促進については、市場の要請であると同時に社会的要請でもあると思われます。
こうした時代の流れの中で、要配慮者向け賃貸住宅の供給増への取組みは、大家や管理会社にとっても重要なテーマと言えるのではないでしょうか。
関連した記事を読む
- 2024/11/22
- 2024/11/19
- 2024/11/12
- 2024/11/08