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2020年01月08日
賃貸経営まめ知識

空室対策 その② テナントリテンション

 なかなか空室が埋まらないオーナーさんへのアンケート結果を見ると、「任せている不動産業者が何も提案してくれない」という答えが上位にありました。

 多分その理由は、提案しても、一度断られると、それで諦めてしまう業者が多いことと、もうひとつ、「家賃を下げる」という提案しか「知らない」業者が多い、のではないかと思います。

お金をかけないとダメなのか?

 たとえば、7万円で募集している部屋が「なかなか」決まらないので困っていたとします。そこで、家賃を5000円下げることを検討します。
 もうひとつ、毎月の支払いが5000円分の借金をして、そのお金で、設備の追加やリフォームを実施することを検討したとします。(5年間の60回払いで金利2.5%なら約28万円が用意できます)

 28万円あれば、水回り設備の入替えとか、壁紙の全面貼り換えとか、いろいろなことができますね。どちらも、オーナーさんの手元に残る「お金=キャッシュフロー」が同じなのは、ご理解いただけるでしょうか。でも、オーナーさんの資産価値は「全然」違って
しまいますね。

 家賃を下げたら、資産価値が「それだけ」下がります。賃貸物件の価値は、その物件が「稼げる家賃」で決まるからです。建物や設備に費用をかければ、資産価値は「その分」維持できます。手元に残るお金は同じでも資産価値に違いがでるのは、オーナーには大きいことです。

 ここで大切なのは、28万円の費用をかけるとしても、「何にかけるべきか」の判断です。「エアコン」や「テレビ付きドアホン」や「浴室乾燥機」など、入居者の希望設備アンケートの上位に「必ず」並ぶ設備を追加する、とか。

 さて、ここまでお読みいただいて、「結局、お金をかけるしか空室対策はないの?」という疑問を持たれたかもしれません。もちろん「そんなことは」ありません。

テナント・リテンションという考え方

 実は、空室対策の中でも、特に重要な考え方として、「テナント・リテンション」というものがあります。テナントとは「借主さん」のことで、リテンションとは「長く住んでもらう」ことです。つまり、借主さんの退去を、できるだけ抑止することを「テナント・リテンション」といいます。空いてしまった部屋を決めることは重要ですが、「空かせない」ことを考えるのは「もっと重要」です。そのためにはどうするか?

 たとえばオーナーさんは、温泉に行って、旅館に泊まることがあるでしょう。「また来たいね」と思えるのは、どんな旅館でしょうか。建物の外観や館内や室内が綺麗とか(決して新しいワケではありません)、スタッフのサービスが「行き届いて」いて気持ちがいいとか、「何回も来たい」と思わせる理由があるはずです。

 賃貸住宅でも、「長く住んでみたい」と思っていただけるような理由を、少しでも提供できたらいいと思いませんか。では、特別なことをやる必要があるか、というと、そうでもありません。

 「気に入った旅館」は、きっと隅々まで、清掃が行き届いていると思います。古い建物でも、床や壁は磨かれていたと思います。賃貸住宅でも、共用部分が「整理整頓」されていることは「長く住んでもらう」ための基本ですね。旅館は毎日清掃していますが、賃貸
住宅では週に一回でもいいでしょう。でも「月一回の清掃」とか「気が付いたときにやる」というのはどうでしょうか。借主さんは「いつも汚れているな」と感じることでしょう。その想いは、「いつか機会があれば住み替えよう」という考えに発展するかもしれま
せん。これを防ぐことは、空室対策として「とても」大事なことですね。

住めば住むほど得をする賃貸住宅とは

 もうひとつ、借主が「長く住めば得をする」という仕組み、というのがあります。たとえば、「エアコン」や「テレビ付きドアホン」の設置の話を書きましたが、あの設備は、空いた部屋を決めるためのものでした。でも、同じお金をかけるなら、「今、住んでいただいている」借主さんにかけた方が、「お金が活きる」のではないでしょうか。

 そんな理由から、「2年以上住んでいただけたら〇〇の設備を設置して差し上げます」というのは「興味深い」アイディアだと思います。「4年目には畳を入れ替えます」とか「プロのルームクリーニングをします」とか。2年の更新の節目を、「住み替え」を考
えるキッカケとするのではなく、「楽しみ」にしていただけたら、借主さんの居住期間が伸びるのに「役立つ」のではないでしょうか。

 空室対策の処方箋は「ひとつ」ではありません。「家賃を下げることだけ」でもありません。オーナーさんの考え方によって選択肢は「たくさん」あります。オーナーさんのご事情を確認して、提案してくれるパートナーがいれば、これからの賃貸経営に大きな力となるでしょう。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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