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2020年07月18日
賃貸経営まめ知識

高齢者の入居、入居者の高齢化の問題を考える

 空室対策の1つとして、「今後は高齢者にも積極的にお部屋を貸していくべきでは?」という話しをよく聞きます。私たち管理会社としても、大家さんの考えを第一に尊重しつつも、そのような提案をさせていただくことがあります。「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」、いわゆるセーフティネット法の後押しもあり、だんだんと民間の賃貸住宅へ高齢者の入居が促進されていくのかと思っていました。しかしながら、実際にまわりを見てみても、高齢者の入居に積極的な賃貸住宅はあまり増えていないようです。その理由としては、「高齢者に貸すと将来的に孤独死の問題や、病気、痴呆などの問題が出てくるかも知れず、そうなった時にどう対応して良いか分からない」という漠然とした不安を、大家さんや管理会社が感じているからだと思っています。

気がついたら高齢独居世帯になっていた

 ところが賃貸管理の現場では、たとえ積極的に高齢者の入居を受け入れていなくても、独居高齢者が増えているという問題が起こり始めています。なぜならば、「契約当時は高齢でなかった入居者が、長く住むうちに高齢者になってしまった」という現象があちこちで起こっているからです。

 高齢になればなるほど「住み慣れた場所から離れたくない」「引っ越しが面倒」などという理由で同じ場所に長く住む傾向があり、それは賃貸経営にとってはありがたい反面、「高齢者問題」という新たなリスクにもなっているのです。

 実際に私たち管理会社のまわりには「入居時はご夫婦とお子さんの3人家族だったのが、お子さんが独立され、高齢のご夫婦の2人住まいになっている」「奥さんがご病気で亡くなり、ご主人が1人暮らしになっている」などというケースが増えて来ています。設備の故障や消防点検などで室内に立ち入った際に、いつの間にか高齢者が独居になっていたことが発覚することもあります。賃貸借契約書には入居家族の変更があったら申告するように規定されているはずですが、特に悪気はないものの、連絡をせずに そのままにしてしまう借主も多いようです。

 たとえ高齢でも健康ならば全く問題ありませんが、やはり若い入居者さんよりはご病気や転倒などによる怪我のリスクは高まるでしょうし、独居であれば倒れた時に救急車を呼んだりするのが難しくなるでしょう。しかし大家さんや管理会社が心配だからといって、家賃をきちんと支払っている入居者さんに、高齢や独居を理由に退去をお願いすることは出来ません。

 高齢の入居者さんが自然に退去するタイミングはというと、息子さんや娘さんが健康状態を心配して引き取ったり、怪我や病気がきっかけで一人暮らしが難しくなって施設や病院に行かれる場合が多いと思いますが、そのタイミングを待っている間に深刻な事態が起こることも考えられるため、大家さんや管理会社は今後、どう対応していくかを考えておかなければならない問題となっています。

早く気付くこと、連絡できることが大事


 高齢入居者さんがいることへの心配の度合いは、「緊急時に早く気付けるかどうか」、「緊急時の連絡先がきちんとしているかどうか」の2つで変わってきます。早く気付くための緊急時用のセンサーは様々なものが商品化されていますが、賃貸住宅に大家さん側が設置するとしたら、安価であることと、設置や撤去が容易であること、入居者さん側にとって監視されているという抵抗感が少ないものが良いと思います。たとえば、点灯したかどうかをチェックして、もし24時間点灯していないとメールで知らせる電球があります。また、電気の使用量だけでAIがお部屋を見守るサービスもあります。これは電力会社を変更することで電力の使用状態を測定し、異常があればメールで知らせてくれるというサービスです。このように日常の小さな変化を見逃さずに検知してくれる技術が進んでいます。

 もうひとつの緊急時の連絡先については、既に連帯保証人さんや緊急連絡先は記録してありますが、連絡手段は複数あっても困るものではありませんので、目的をきちんとお話しして、保証人等の携帯電話、職場の電話、携帯のメールアドレスなどを追加でお聞きしたり、いま連絡先を記録している以外のご親族がいらっしゃるならその方のご連絡先もお聞きできたらなお安心だと思います。遠くのご親族より親しくしている近くの友人の方がいらっしゃるなら、その方の連絡先を聞いてみても良いのではないでしょうか。

 これらは賃貸借契約で定められている事項ではないため提案するタイミングが難しいのですが、更新の時など、高齢になられた入居者さんが独居になっていることが判明した場合に、大家さんと管理会社で話し合って提案するのが自然で良いと思います。そして、ここで気をつけたいのは入居者さんの気持ちです。センサーの提案も緊急連絡先の追加も、「高齢で一人暮らしになった入居者さんの安心安全のため」ではありますが、入居者さんにとっては「自分が倒れた時のことを心配されるなんて大きなお世話だ!」と気分の良いものではないかも知れません。相手の気持ちを見極めながら、場合によっては先にご親族に相談するなど慎重に進める必要があります。

 高齢の親族が独り暮らしをしていることは、家族間でも心配で悩ましい問題です。でも、身内だからこそなかなか言い出しにくいことでもあります。大家さんや管理会社からの提案がきっかけとなり、ご親族間で今後いつまで独り暮らしが出来るのか、万一の時はどうするかなどを話し合って頂くことができるとしたら、それは大家さん側だけでなく入居者さんにとっても良いことなのではないでしょうか。高齢者に貸すのが不安ならば、新規に高齢入居者を入れない選択はできますが、現在の入居者さんの高齢化は避けることができません。そのための対策を管理会社や募集を依頼している会社と一緒に考えておく必要があります。

 そして、賃貸経営の各種お悩みは、中京ハウジング(株)にご相談下さい。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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