賃貸管理の現場から新型コロナへの対応報告
先月号の「オーナーズ通信」からのご紹介です。
今回は、新型コロナウィルスによって管理会社の最前線で起きていることを書かせていただきます。賃貸業務を扱う不動産会社の中には4月初旬から、出社する社員を減らす自粛営業を始めているところが多くあります。本来ならば、「スタッフ全員で緊急事態宣言が明けるまで完全休業」という措置がとれると、感染予防のお手本になれるのでしょうけど、賃貸業務を止めることはできません。その一番の理由は、入居者さんからの要望に
対して「管理会社が生活を支える重要な窓口」になっているからで、最低でも緊急対応スタッフが稼働していなければならないからです。また、大家さんの空室を埋める客付営業に関しても、インターネットでの募集業務と問い合わせのメール対応、現地待ち合わせでのお部屋のご案内を継続しています。お客様と店頭対応することも避けられないので、お互いの感染予防のために透明のアクリルの仕切りを設置する会社も増えています。誰もが初めての経験ですので、正しい答えなどは解らないまま模索しているのが正直なところです。
事業用テナントからの要望
そんな中で、私たち不動産会社より厳しい状況になっているのは、飲食業や美容室などの接客業を営んでいるテナントさんです。3月から、「売り上げが9割減った」「店を休業している」などの深刻な相談が毎日のように入っています。最初のうちは、コロナ対策のための融資や助成金を利用するようにと勧めていましたが、結局のところ、一時金や借金で解決できるような短期の問題ではないので、話しはどうしても大家さん側への賃料条
件交渉へと移ってきます。もちろん大家さんにもそれぞれのご事情がありますので簡単に進む話しではありません。大家さんの賃貸経営による収益を守るのが管理会社の仕事ですので、「どうしたら一番適切か」について、間に入りながら頭を悩ませているのが実情です。
この事態に国会から「家賃の支払いができない中小の事業者を救済する法整備に着手する」とのニュースが報じられました。「借主の家賃の3分の2(50万まで)を6 ヶ月まで補助」を考えている与党と、「支払いを政府系金融機関が一定期間を肩代わりする」と主張する野党との方法論の違いはありますが、いずれにしても事業者借主への支援策の法整備が実現しそうです。本誌がお手元に届いている頃には一本化されていると思われます
が、重要なのは手続きの簡易さと支給されるスピードです。支給の遅れは、大家さんへの入金遅れにつながります。管理会社としては このニュースに注目して、大家さんに早めの情報提供をしなければならないと思っています。
つづいて居住用の借主からも
店舗等のテナントの次は、コロナによって職を失ったり収入を減らされた入居者さんからの相談が多くなると予想されます。先日も、実家へ帰るという理由で単身者から解約通知が入りました。今後は勤務先の状況次第の解約か賃料相談が増える事でしょう。このような借主への支援策としては「住居確保給付金」という制度があります。コロナによって失業したり、収入が減少して失業と同じような状況にある方に、3か月の家賃助成をしてくれる制度です。国交省からも、この相談窓口を賃貸住宅に入居している生活困窮者に紹介するように賃貸住宅関係団体に依頼がきていますので、積極的に伝えていこうと考えています。リーマンショック直後には、派遣会社を借主とする法人契約の解約が増加しましたが、今回も同じような事態が起こるのではと危惧しています。
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店舗等のテナントも個人の入居者さんも、「コロナが収束したら経済的な復活ができるのか︖」が、貸主としての重要な見極めポイントです。先の見えない状況で正解はないのですが、その判断によって「解約もやむなし」とするか、「何とか継続をしていただく」という対応を選択する必要があります。何が正しい選択かわからない状態でも、貸主と借主の間に入って調整を行いながら、円満な関係を継続させるのが管理会社の役割だと思っています。
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