賃貸住宅の地震リスクを軽減するポイントは?②
前回は「大地震によって賃貸オーナー様が受ける3つの損害」についてご紹介しましたが、今回は地震対策についてご紹介します。
【対策①】耐震診断を受けて建物の状況を把握する
地震対策で重要なのは、専門家による「耐震診断」を受けて物件の強度を把握し、状況に合った施策を行うことです。
例えば、耐震性が低い建物の場合は、ハード(耐震工事など)とソフト(保険加入など)の両面からの施策が必要ですし、一定の耐震性がある場合はソフト中心の施策となります。
耐震診断の費用は構造や床面積などによって異なりますが、一般的な木造住宅の場合、12〜25万円程度が目安です(参考:日本建設業連合会「耐震診断費用の目安」)。
なお、診断を行う業者を探したい場合は「エリア+耐震診断」などのキーワードで検索してみてください。
【対策②】耐震補強金物を設置して「ほぞ抜け」を防ぐ
旧耐震(1981年5月31日までの建築確認で適用された基準)の築古物件や、耐震性が十分でない木造物件に対する地震対策の一つが、耐震補強金物(緊結金物)の設置です。
大地震の際、木造住宅が倒壊する最大の原因は、柱が土台から外れてしまう「ほぞ抜け」です。
耐震補強金物は、接合部を金物で補強することでほぞ抜けを防ぎます。
既存住宅への耐震補強金物の設置方法には、以下の2通りがあります。
・壁を壊して金物を設置する
・建物の外側に金物を設置する
後者の場合、壁を壊さずに金物を設置できるため、壁を壊す工事と比べて費用を抑えることが可能です。
【対策③】屋根材の変更によって躯体への負担を減らす
築古のアパートの中には、屋根材に瓦やセメントを使用している物件も見受けられます。
これらの屋根は重量があり割れやすいため、デメリットとして「地震の際に建物にかかる負荷が大きくなりやすい」「落下した際に被害が大きくなりやすい」などがあります。
瓦やセメントの屋根を、軽量で耐久性のある金属製屋根(ガルバリウム鋼板など)に交換することで、地震リスクの軽減が期待できます。
ガルバリウム鋼板の屋根は一般的な住宅会社やリフォーム会社などでも対応可能なことが多いため、気になる方は取引のある業者に相談してみてください。
ただし、建物の耐震性が低いままでは、屋根材を変えても効果は限定的です。
建物の耐震性が低い場合は、対策2でご紹介した「耐震補強金物」の設置を優先することをおすすめします。
屋根材の交換は、あくまでもサブ的な耐震補強と考えましょう。
さて、今回はこのあたりにして、次回も引き続き地震対策をご紹介します。(次回11/26です)
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