共有の見直し その2
昨日の続きです。民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目に中で、「共有の見直し」について、要点を説明します。
見直し(3) 賛否を明らかにしない共有者がいる場合の管理
賛否を明らかにしない共有者がいる場合には、裁判所の裁定によって、その共有者以外の共有者の持分の過半数によって、管理に関する事項を決定することができるように改正されました。
※変更行為、もしくは賛否を明らかにしない共有者が共有持分を失うことになる行為(抵当権の設定等)には、利用できません。
※賛否を明らかにしない共有者の持分が、他の共有者の持分を超えている場合や、複数の共有者が賛否を明らかにしない場合であっても利用できます。
見直し(4) 所在等不明所有者がいる場合の変更・管理
所在等不明共有者がいる場合には、裁判所の裁定によって、
(1)所在等不明共有者以外の共有者全員の者に同意によって、共有者に物に変更を加えることができます。
(2)所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数によって、管理に関する事項を決定することができます。
※所在等不明共有者が共有持分を失うことになる行為(抵当権の設定等)には、利用できません。
※所在等不明共有者の持分が、所在等不明共有者以外の共有者の持分を超えている場合や、複数の共有者が所在等不明の場合であっても利用できます。
見直し(5) 裁判による共有物の分割
【1.賠償分割に関する規律の整備】
裁判によって共有物を分割する方法として、賠償分割 (※共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法)が可能である旨、明文化されました。
【2.給付命令に関する規律の整備】
裁判所は、共有物を分割する裁判において、当事者に対し金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる旨、明文化されました。
見直し(6) 所在等不明共有者の不動産の持分の譲渡
・裁判所の裁定によって、申立てをした共有者に、所在等不明共有者の不動産の持分について、譲渡する権限を付与する制度が創設されました。
・譲渡する権限は、所在等不明共有者以外の共有者全員が持分の全部を譲渡することを停止条件とするもので、不動産全体を特定の第三者に譲渡する場合のみ行使できます。(一部の共有者が持分の譲渡を拒む場合は、条件が成就せず、譲渡することができません。)
・所在等不明共有者の持分は、直接、譲渡の相手方に移転します。(申立てをした共有者がいったん取得するものではありません。)
※所在等不明共有者は、譲渡する権限を行使した共有者に対する不動産の時価相当額のうち、持分に応じた額の支払請求権を取得します。(実際には、供託金から支払を受けます。時価相当額が供託金を超える金額である場合には、別途、訴訟を提起するなどして請求ができます。)
※遺産共有の場合では、相続の開始から10年を経過するまで利用できません。
※不動産を譲渡するためには、裁判所の裁定に加えて、別途、裁判外による売買契約等の譲渡行為が必要です。譲渡行為は、裁判の効力が発生して(即時抗告期間の経過などによって裁判が確定した時)から、原則2か月以内(裁判所によって伸長することが可能)に行わなければいけません。
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