賃貸借契約の原状回復に関するトラブルについて
全国の消費生活センター等には、賃貸住宅に関するいろいろな相談が寄せられいるようです。なかでも、退去時の原状回復に関する相談が多くみられます。
そこで、国民生活センターでは、賃貸借契約における「原状回復」とは何か、 トラブルを防ぐにはどうしたらよいか、消費者へ注意喚起を行っています。
相談事例
【事例1】
敷金礼金不要のアパートを退去したら、契約書の記載と異なるエアコン清掃代や入居前からあったフローリングのキズの修繕費用まで請求された。
2年間居住した、1LDKで家賃5万円、敷金と礼金が0円の賃貸アパートを退去した。先日、原状回復費用の請求書が届いたが、ハウスクリーニング代約5万円、鍵交換代約1万円、クロス修復代約1万円、フローリング修復代約2万円などを含め、合計 10 万円を超えていた。ハウスクリーニング代については契約書に特約として記載があるので支払うつもりでいるが、施工業者に確認したら相場はもっと安いと言われた。また、クリーニング代にはエアコンの清掃代が含まれているが、契約書にはエアコンの清掃代は「室内に喫煙の形跡が残っている場合のみ」と記載されており、自分は喫煙していない。また、フローリングについては、入居時に複数のキズがあった。請求に納得できない。
【事例2】
アパートを退去した際、自分では通常損耗だと思う箇所の修繕費用や、契約書に記載
のない費用を請求され納得できない。
25 年間入居していたアパートを先月退去した。家賃は約7万円で、敷金 22 万円を払っている。管理会社と立会い後、書面を交わして退去したが、その後、「床の張替え、建具の塗り替え、畳表替え、クロス塗装、ハウスクリーニング等の費用約 19 万円を敷金から差し引いて返金する」との書面が届いた。居住年数が長いのでそれなりに汚れはあったが、破損させた箇所はないし、立会いの時にも特に指摘されなかったので、通常損耗だと思う。賃貸借契約書には畳の表替えに関する記載はあるがハウスクリーニング費用に関する記載はない。納得できないがどうしたらよいか。
原状回復とは・・・
賃貸住宅を退去する時、法律(民法)では、部屋の中で賃借人が壊したり、傷つけたりした所を修繕する必要があるとされています。これを「原状回復」と言います。
多くの場合、 賃貸人や管理業者の立ち会いのもとで、部屋や設備をどの程度修繕する必要があるか点検します。入居時に支払った「敷金」は、修繕費用等を差し引いた上で賃貸人から返還されます。
修繕費用が「敷金」よりも多くかかる場合は、不足分を払わなければなりません。国土交通省が作成している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、退去時に部屋を修繕する費用を賃借人が負担するのか、賃貸人が負担するのかについて、一般的な考え方を示しています。
日頃から勉強されているオーナー様にとっては、上記負担割合の考え方はご存じだと思います。
トラブルを避けるためには、契約者に入居時に退去時の手続きや一般的な原状回復のルールをきちんと説明しておくことが大切です。またガイドラインと異なった契約書の場合は、特約内容をしっかり説明しておくことが重要ですね。
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