電子契約の流れとポイント
宅建業法の改正により、取引相手方の同意を前提に、不動産取引に必要な書類(媒介契約書=いわゆる34条2書面、重要事項説明書=いわゆる35条書面、賃貸借契約書および売買契約書=いわゆる37条書面)の完全電子化が解禁されました。
改正前は「紙の原本」の送付等が必要とされたのに対し、データ提供のみでも可、とされたわけです。
電子契約の流れとポイント
さらに、これらの書類のうち、「重要事項説明書」および「賃貸借契約書・売買契約書」については、電子書面はもちろん紙書面であっても宅建士の押印が不要となりました。(記名は必要)
なお、電子契約(IT重説および電子契約)の大まかな流れは以下の通りです。
①取引相手方の承諾取得
電子契約を行うためには、取引相手方の承諾が不可欠です。同意が得られない場合は、従来同様の紙書面・対面を基本とした契約スタイルとなります。なお、電子契約を基本として、一部(例えば重要事項説明)を対面で行うことは差支えありません。
②電子契約の実施環境確認
IT重説や電子書面のオンライン説明等を行う場合、自社はもちろん、取引相手方にもWeb会議等を滞りなく行える環境と知識が必要です。利用予定のソフトウェア等に説明の相手方が対応可能であるかの確認は必須で、可能であれば事前テストを行っておくとようでしょう。
③電子書面の作成と電子署名
取引関係書類(契約書、重要事項説明書等)の電子書面を作成し、本人(作成者)や改変されていないことを確認していただけるよう電子署名を行います。
④電子書面の取引相手方への提供
電子メール、ホームページからのダウンロード等により、取引相手方に電子書面を提供します。重要事項説明書は説明日以前に送付し、目を通しておいていただき、当日は印刷して手元においていただくと説明や手続きが円滑に進みます。
⑤電子書面の作成者や改変されていないことの確認方法と保存の必要性、方法の説明
送付した電子書面の到着確認とともに、「署名パネル」等により、改変が行われていないことの確認方法、各書類の保存の必要性やその方法等を説明します。
⑥IT重説の実施、契約の取り交わし
送付した電子書面に基づき重要事項説明を行い、相手方に十分理解いただいた上で契約を交わします。
⑦電子書面の保管
交わされた契約書類を「電子帳簿保存法」で定められた要件に従って保管します。
留意点
IT重説においても宅建士による説明、宅建士証の提示が必要です。氏名等の記載事項と写真を明示し、画面の説明者と同一であることを確認していただくとともに、説明相手方が契約者本人であることを、運転免許証等で示していただくようにします。
「紙」と「印鑑」中心とされていた不動産業界においても、このDX化が急速に進んでいます。導入にあたっては、一定のIT設備や知識とともに、各種書面の書式見直しなども必要となりますので、十分に検討の上、有益なものから少しずつスタートしていきたいと思います。
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