最近の賃貸仲介事情
先月号のオーナーズ通信の記事をご紹介します。
大家様の空室を埋める賃貸仲介の最前線では、よく 問い合わせされたお客様の分類をします。たとえば、入居したい時期が未定のお客様は「C」。入居時期が3ヶ月以降先のお客様は「B」。そして、直近から3 ヶ月以内で検討しているお客様を「A」という具合です。
このように賃貸仲介の現場が特に注目しているのが「入居希望時期」なのです。入居時期がより明確で、早く入居したい事情のお客様ほど成約してくれる率が高いのです。
一般的な分類結果では「C」のお客様の割合が一番多く、一番少ないのは「A」となります。割合としては「A」のお客様が20%、「B」のお客様が25%、「C」のお客様が55%程度ではないでしょうか(もちろん地域や、繁忙期か閑散期かによって変化します)。
お客様の変化
しかし新型コロナの感染が拡大するにつれ、この分類結果に変化が表れ始めました。具体的には「急ぎで引っ越しを検討しているお客様」(A)が極端に減っているという傾向が見られています。これはおそらく、転勤や入学などの社会的移動が、コロナによって減少していることが関係していると思われます。つまり「急いで引っ越さなければいけない状況」というものが、社会全体で総体的に減っているということです。
成約になる確率の高いお客様が減っているのは仲介会社としても厳しい状況ですが、一方で興味深いのは、問い合わせ数はそこまで減少していないことです。つまり上記の例でいうと、「A」のお客様は激減していますが、「C」のお客様は減っていない、もしくは増加傾向にあるのです。これは「急いでないが住み替えはしたい」というお客様が一定数は存在していることを表しています。大家様や管理会社としては、このような「住み替え」を検討しているお客様を取り込んでいく必要がありますが、そのためにどのような対策が必要でしょうか︖
まず、「特に急いでないが住み替えの欲求はある」というお客様はインターネットでの物件検索を頻繁に行いますが、物件に対して妥協はしません。お客様自身の要望や条件を明確にして、長い時間をかけてポータルサイトなどで物件を見比べます。設備項目や物件の具体的な環境など、自分の希望条件と照らし合わせながら、ひとつひとつを細かく見ていきます。
こうしたお客様の引越し理由として、「リモートワークできるスペースが確保できれば」「早くて快適なインターネット環境が整っていれば」という項目が挙がるのが特徴のひとつです。またもうひとつの特徴として、お客様自身がインターネットで選んだ物件で、そのまま成約になるケースが多いことです。つまり、お客様は時間をかけて選ぶけ
れど、選んだ末に問い合わせた物件で、そのまま成約するケースが多くなっているということです。
リモートで選ばれる工夫を
このような傾向を踏まえたうえで、こうしたお客様をしっかり確保するためには、まずインターネットの物件情報を抜け漏れなく記載し、そして他の物件とは違ったアピールポイントを打ち出していくことが重要になります。当然のことながら、募集中の物件設備のチェック項目に抜け漏れはないかどうかの確認は必須になります。そして、自由に書けるコメント欄の充実です。物件ページに記載できない情報、周辺環境やリモートワークの
しやすさや、インターネット環境、間取りの特徴などを記載します。そして写真の充実です。とにかく全部屋と多くの設備をきちんと掲載することです。動画掲載などへの取り組みも積極的に取り入れていくことも重要になります。
引っ越しが不要不急ではないお客様をいかに取り込んでいくのか。それには「現地を
見てもらえれば分かる」ではなく、インターネットなどの「リモートで選ばれる」という
戦略を徹底させることが、コロナ禍での空室対策の基本となるようです。
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