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2020年07月13日
賃貸経営まめ知識

改正入管法施行後の外国人入居者

 改正入国管理法が昨年4月から施行されましたので、今後は外国人労働者が増えることは確実だと思いますが、賃貸経営にどんな影響があるのでしょうか?

法律の趣旨

 法改正直後は、法人がまとまった数のお部屋を探している話は聞きましたが、大家さん単位での賃貸需要には時間がかかりそうです。しかし、5年間で最大34万5150人を受け入れると公表されていますので、今後の大きな賃貸需要であることは間違いありません。そもそもは、「労働人材の不足が深刻」という問題があり「外国人受入れ政策を見直して人材不足を解消する」という政策が基となっています。そのために新たな在留資格を設けて、多くの資格者を受け入れようというのがこの法律の主旨です。

大家さんにとってのメリットとリスク

 この外国人労働者の増加がもたらす賃貸経営上のメリットとして最も大きいのは「入居率の改善」でしょう。日本人の人口は2009年から減り続けていますし、世帯数も数年後にピークを迎えて、その後は減り続けることが確実視されています。令和35年になると人口が1億人を割るとも言われています。日本人の人口と世帯が減る一方で、賃貸住宅の供給量が減らない構図は変わりませんので、全体の入居率が悪化し続けるのは自明の理です。入居を希望する多くの方は築年数の浅い物件を選ぼうとするので築古物件が不利になります。それを補うために、リフォームやリノベーションにお金をかけるという選択肢もありますが、そもそも国内の供給過多の構図は変わりませんから、限られたパイの奪い合いとなり、投資資金を回収できるかどうかは未知数です。改正によって、今後はこの減り続ける世帯を外国人労働者が補うことになりますので、全体の入居率を少なからず押し上げることは間違いありません。

 2つめのメリットは「法人借上げによる安心感」と言われています。この改正法では受け入れ企業にも義務を課しています。その中に、「住居を用意して生活や仕事の支援計画を作って日本社会になじめるよう後押しする」ことも含まれていますので、外国人に直接賃貸するより安心できます。

 家賃滞納の不安も少なくなりますし、緊急時の連絡先が明確なことも安心材料です。

 反対にリスクもあります。外国人入居者を受け入れるリスクとして最も大きいのは「入居トラブルと近隣苦情」への不安でしょう。生活習慣の違いから生じる、騒音、調理等の臭い、ゴミ出しなどのトラブルは、以前から他の入居者や近隣住民からの苦情につながる不安として大家さんから指摘されています。受け入れた法人側で日本の生活習慣や生活情報を外国人に伝えて、入居後のフォローをしっかりとすることを期待したいと思います。

 もうひとつ、これはリスクとは言えませんが、改正入管法の対象となる業種は建設業、宿泊業、介護、農業、漁業、外食業などの14業種に限られています。この受け入れ企業のある地域、たとえば介護施設、外食店舗、建設現場などが多い地域では、外国人労働者による賃貸需要が見込めますが、そうでないエリアでは多くを期待できませんので、おのずと地域格差は生じることになるでしょう。

今後の問題点

 今後の賃貸経営を考えるとき、外国人入居者を新たな賃貸需要として積極的に取り組むか、リスクがあるので敬遠するかは大家さんの方針次第です。どちらにしても、全体の入居率の悪化が予想される環境の中で、どのような方針で経営していくのかを考えるべきでしょう。

 また、今回の新型コロナウィルスをうけて、各地の賃貸需要にどんな影響があるかの答えが出るまで私たちも注視して行く必要があります。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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