「家賃債務保証会社」の 仕組みを知ろう
先月号の「オーナーズ通信」からのご紹介です。
新型コロナウイルス感染拡大防止策の影響で収入を減らした人が増えています。もし借主が家賃を支払えなくなった場合に、頼りにできるのは連帯保証人や保証会社となりますが、保証会社の仕組みを詳しく知らないという大家さんも多いのではないでしょうか。この機会に、保証会社の仕組みをおさらいしてみましょう。
保証会社とは
核家族化が進んで親族に連帯保証人を頼みづらい風潮になったことから、今や大家さんにとって保証会社の存在は馴染み深いものになっています。保証会社は正しくは「家賃債務保証会社」と呼ばれ、賃貸借契約の際に手数料を受け取ることで連帯保証人の代わりになってくれます。借主にとっては、保証人を頼める人がいなくても保証会社を使うことで賃貸住宅が借りやすくなります。大家さんにとっては、借主が家賃を滞納した時に代わりに家賃を支払ってくれる有り難い存在です。ただし保証人の代わりと言っても保証するのは金銭のみで生活態度などに関する責任は取りません。
保証会社は借主の家賃滞納リスクを審査し、審査が通った場合にのみ契約に進みます。保証料は、契約時だけ支払うもの、契約時と更新時に支払うもの、家賃の数パーセントを毎月支払うものなど様々です。審査の方法や基準が各社で異なるため、ある保証会社では審査が落ちたのに、別の保証会社では審査が通ることがあります。無理そうな人が審査に通ったり、大丈夫だろうと思った人が落ちたりする時にはその理由を知りたくなりますが、私たち管理会社に対しても教えてもらえないことになっています。
保証会社の仕組み
保証会社の仕組みは大きく分けて2種類あります。収納代行型と代位弁済型です。収納代行型とは「家賃の収納(集金)を代わりに行う」保証会社の仕組みのことです。借主と保証会社で家賃のやり取りが完結し、もし滞納が発生しても保証会社から期日通りに家賃が支払われます。
一方の代位弁済型の場合は、借主が家賃を振り込むのは管理会社か自主管理大家さんの口座です。滞納が発生しても保証会社には分かりませんから、口座を管理している側が家賃入金の有無を確認し、万一滞納があったら保証会社に報告し、滞納家賃分を代わりに払ってもらうように請求しなければなりません。この請求には期限が設定されていますので、自主管理の大家さんは滞納が発生したらすぐに保証会社に報告と請求をする必要があります。
保証の範囲や金額も会社ごとに違いますが、基本となるのは家賃、共益費や管理費、駐車場代などです。その他、更新料や、滞納による明け渡しとなった際の訴訟費用、退去後の原状回復費用、残置物撤去費用、鍵交換費用などを支払う会社もあります。保証の項目に入っていても、支払いに上限額が設定されている場合もあります。現在保証会社を規制する法律や監督する省庁はありません。過去に、一部の保証会社による強引な取り立てなどが社会問題となり、家賃債務保証業務の適正化を図ることを目的として、国土交通省が2017 年に家賃債務保証業者の登録制度を創設しました。登録は任意で、登録されていても国が何かを保証するわけではありませんが、どんな会社かを知るための1つの目安になります。
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今回のレポートのまとめとして、賃貸経営の滞納リスクを無くしてくれる保証会社は、大家さんにとって頼もしい存在であることに異論はないでしょう。一方で冒頭に記した通り、新型コロナの影響で収入を減らす方が増えていますので保証会社の家賃滞納リスクが高まっています。
もし滞納が起こっても保証会社が保証してくれるので大家さんは安心ですが、保証会社の督促業務や代位弁済の金額が増えるのも事実です。この事実を知った上で大家さんや私たち管理会社としては、契約している保証会社との連絡を密にし、さらに情報を多く取り入れて、平時よりも関心を強めておく必要があると考えています。
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