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2020年06月16日
賃貸経営まめ知識

借主が起こした火災への損害賠償について

テレビ番組を見ていたら、「自分が火を出して他人に損害を与えても、重過失でない限り賠償責任を負わない」と説明されていました。「失火責任法」というのだそうです。となると、私のアパートの住人が火事を起こしても、大家として「弁償してほしい」とは言えないのでしょうか。

損害賠償請求できますか?

 結論は、損害賠償を請求できます。もちろん、火を出した借主は賠償責任を負います。

 民法では、故意または過失によって第三者に損害を与えた場合は、加害者は被害者に対してその損害を賠償しなければならない、と定められています(709条)。でも、失火の場合は例外として、「重過失がない限り賠償責任を免除」しているのです。つまり、失火による火災で他人のものが燃えても弁償しなくてもいいのです。

 初めて聞くと驚く方も多いと思います。昔から、木造家屋が狭いところに密集している日本では、一軒の家が火を出せばたちまち類焼が広がって大火事になっていました。だから昔の「火消し」は延焼を防ぐために、火災現場の周りの建物を破壊するという方法をとったほどです。そのような文化ですから、被害者全員で火元に火事の損害を請求しても「仕方ない」ということなのだと思います。

 アパートの住人が火を出して、隣の部屋の家財が燃えてしまった場合は、重過失でない限り被害者は「もらい火損」となります。大家さんとしても困った事態ですね。だからアパートの住人には、自分の財産を守るために「家財保険」に加入していただいているのです。

火災保険には加入して下さい。

 では「重過失」とはどのようなものでしょうか。判例では、6 畳のアパートの住人が、暖房機の代わりに600 ワットの電気コンロを点けてそのまま寝てしまい、その付近から炎が上がってしまった、というケースが「重過失にあたる」とされた例があります。

 あるいは、油の入った鍋をかけたまま来客応対のためその場を離れ、ガスコンロの火が鍋の中の油に引火した、というケースも重過失とされた例があります。失火だったら何でも免れる、というワケではないのです。

 では、アパートの大家さんも「失火責任法」によって損害を請求できないのではないか、という不安を抱くと思います。ご安心ください。冒頭の答えのように、損害賠償を請求することができます。何故かというと、アパートの借主は大家さんに対して「善良な管理者の注意義務」を負っているからなのです。これは「他人から借りたものは、自分の
財産に対する注意より、もっと高度の注意を払わなければならない」という基本的な考え方によるものです。大家さんと借主との間で賃貸借契約が結ばれると、借主はこの「善管義務」を負うことになるので、火事を起こせば契約義務違反として損害賠償責任が発生します。

 ほとんどの場合、借主は火災保険(借家人賠償保険)に加入しているので、そこから保険金が支払われます。万一、借主が保険に入っていない場合はどうなるのでしょうか。個人の連帯保証人がいる場合は、その保証人が負うことになります。でも「保証会社」の場合は、保証会社は責任を負わない契約となっているはずです。その場合でも、大家さんが加入している火災保険から保険金が支払われるはずです。一度、調べてみてください。

 当社は損害保険の代理店もしております。火災保険のご相談は中京ハウジング(株)にお任せください。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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