管理業者管理者方式について
10月も終わろうとする今、朝晩は涼しくなってきましたが日中はまだ半袖でも良い日がありますね。
一昔前はマイルールとして、10月に入ったら頑なに長袖にする!と決めていましたが、昨今の温暖化(?)によりその日その日の気温に応じた服装を臨機応変に着た方が楽だと柔軟な考えに至った管理スタッフOです。(←イニシャルでオーです。)
年を重ねると、考え方が”柔軟になるタイプ”と”頑固になるタイプ”がいて、自分は前者になれるよう気を付けていますが…
さて、以前のブログでも紹介させて頂いた、『管理者管理方式(第三者管理方式)』の中で、管理会社が管理者となる方式の『管理業者管理者方式』について、令和6年6月に国土交通省にて“マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン”が制定されましたので、その概要をご紹介いたします。
1.『管理者管理方式(第三者管理方式)』とは(おさらいです。)
入居者の高齢化や住戸の賃貸化により管理組合役員の担い手不足の問題を受け、管理組合運営を専門家である管理会社やマンション管理士等の第三者に委託する方式であり、外部専門家が理事長や役員に就任し管理組合の運営を行う事で、役員の負担軽減や担い手不足等の問題を解消する事を目的として考えられた方式です。
上記方式のうち、管理会社が管理者となる方式が『管理業者管理者方式』となります。
2.管理業者管理方式に関する留意点等
国土交通省では、管理会社が管理者に就任する『管理業者管理方式』が増えてきている現状を踏まえ、『管理業者管理方式』の適正な運営を担保し、管理組合に不利益が生じることを防ぐ観点から、留意すべき事項や望ましい体制がガイドラインにより規定されましたので、その内容を要約しご紹介します。
(1)既存マンションでの『管理業者管理方式』導入の進め方
・『管理業者管理者方式』を導入する場合、管理組合の運営に大きな影響を与え得る観点より、管理者業務を受託する予定の管理会社から区分所有者への「説明項目(以下(3)~(9))」を設定
(2)新築マンションにおける『管理業者管理者方式』導入までのプロセス
・『管理業者管理者方式』導入予定の分譲業者から購入希望者への「情報提供項目(以下(3)~(8))」を設定
・必要に応じて、分譲業者から十分な情報提供が困難な場合などは、管理者業務を受託する予定の管理会社が購入希望者に対して直接説明を行う
(3)管理者権限の範囲等(管理組合運営のあり方)
・管理者業務と管理業務の委託契約書は分けるべき
・管理者業務と管理業務の担当者を分けるべき
・管理者の任期は原則1年程度とすることが望ましい
・区分所有者の意思反映のための環境整備が必要(区分所有者から構成される管理評議会等の設置、アンケート等による区分所有者の意見集約等)
・議決権行使は、管理者や外部専門家である監事への委任状交付ではなく、出席又は議決権行使書によることが望ましい
※必要に応じて、管理者の欠格条項、総会決議事項、管理者の権限等を規定することが望ましい
(4)通帳・印鑑の保管方法
• 管理組合財産を管理する預金口座は、管理組合名義とするべき
• 通帳と印鑑等の同時保管を避け、口座の印鑑等は監事が保管することが望ましい
(5)管理会社が管理者の地位を離れる場合のプロセス
・規約には、管理者の固有名詞を記載しないことが望ましい
・管理者の退任が決まった後の新管理体制への移行手続は、監事が担うことが望ましい
・具体的には新規約の調整、新管理者の選任を議案とする臨時総会の招集通知を、旧管理者の退任決定日から1か月(より長くすることも考えられる)以内を目途に発出し、新管理体制を整備することが望ましい
(6)利益相反取引等における対応や情報開示の方法
・総会で承認された金額以上の支出を伴う取引や、自己取引及びグループ会社との取引等については、総会において承認を得る必要がある
・グループ会社の定義について、管理会社の親会社、子会社、関連会社、管理会社を関連会社とする会社を総称したものとして整理
(7)大規模修繕工事の進め方や情報開示の方法
・大規模修繕工事は、区分所有者及び監事で構成される修繕委員会を設置し、これを主体として検討することが望ましい
(8)監事の設置と監査の方法
・監事のうち少なくとも1名は外部専門家から選任し、加えて、区分所有者からも監事を選任することが望ましい
(9)その他重要事項
・管理者業務にかかる費用及び支払時期等
3.参考資料
4.最後に
役員の負担軽減や担い手不足等の問題を解消する目的としての『管理者管理方式(第三者管理方式)』ですが、理事会業務の負担は軽減できるものの、管理者に対するしっかりとした管理体制の制定及び監事に関わる責任の負担増等、手放しでお任せするには不安要素は残ると思います。
自分たちの財産の管理を他人任せにすることへのリスク等を考えたうえで、信頼のできるパートナー選び、管理者に対する管理体制の検討等、慎重に判断する必要があると考えます。
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