高齢化社会の相続問題に家族信託が効果的 ①
「家族信託」という言葉を聞いたことはありますか?
数年前から、高齢者の方の財産管理や相続対策に非常に効果を発揮するということで、注目されていますが、いったいどんな仕組みなんでしょうか?
家族信託とは?
「家族信託」とは、一言でいうと『財産管理の一手法』です。資産を持つ方が、特定の目的(例えば「自分の老後の生活・介護等に必要な資金の管理及び給付」等)に従って、保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。いわば、「家族の家族による家族のための信託(財産管理)」と言えます。
家族・親族に管理を託すので、高額な報酬は発生しません。したがって、資産家のためのものでなく、誰にも気軽に利用できる仕組みです。
親が認知症になった場合でも
厚生労働省が2014年に発表した「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によれば、認知症高齢者は今後ますます増加し、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症を発症するとされています。
資産管理にも影響がでます。認知症などにより本人の意思判断能力が低下すると、例えば銀行口座からの引き出しができなくなり、子が代わりに親の財産の管理や処分が一切できなくなる可能性もあります。
親が認知症になった後に財産を管理する場合は、家庭裁判所へ申し立てを行い、成年後見人を選任してもらわなければなりません。鑑定費用や手続き費用がかかるため、なるべく親が認知症を発症する前に財産の管理や処分の方法を決めておく必要があります。
認知症に備える事前の対策方法が「家族信託」です。親(委任者)が認知症になる前に設定しておくことで、本人の意思判断能力が低下しても子(受任者)が財産を管理・処分することができるので、財産を凍結される心配がありません。
では、家族信託の具体的なケーススタディは、明日ご紹介させていただきます。
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