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2020年04月11日
賃貸経営まめ知識

オーナーが知っておきたい改正民法

先週、民法の改正による連帯保証人に関することを紹介しましたが、その他、賃貸に係わるものをピックアップして、Q&A方式でご紹介します。

一部が滅却した場合の賃料

Q.台風で屋根が壊れ、アパートの一室で雨漏りが発生。居住者は修繕するまで家賃を減額してほしいと言ってきます。災害の場合も賃料を減額しなければならないのでしょうか?

A.従来は、物件の一部滅失などの場合の賃料減額についての規定は、賃借人が滅失した割合に応じて減額請求をすることができるものとしていましたが、雨漏りなどで使用・収益できなかった場合の規定はありません。

 新法では、端的に「賃借物の一部が滅失その他の理由により使用及び収益をすることができなくなった場合」減額となると規定しましたので、台風のような災害による雨漏りで一部使用ができない場合は、賃料は減額になります。

修繕義務と修繕権

Q.「トイレの水漏れを修理したからお金を払ってほしい」と居住者から連絡がありました。居住者が管理会社やオーナーに相談なく修理した場合、費用はオーナーが負担するべきでしょうか?

A.従来でも、賃貸人は修繕義務を負い、賃借人が負担した必要経費を賃貸人に償還請求できるものとされていますが、賃貸人の所有物である賃貸物件について、賃貸人の意思に反して修理することができるとの規定はありません。

 新法は、賃借人に修繕権を認め、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に修繕しない場合、もしくは②急迫の事情があるときは、賃借人は修繕権を行使して自分で修理し、費用の償還請求ができることになりました。トイレの水漏れについては、その度合いが、修理をしないとトイレが使えない場合は、急迫の事情もあると思います。この場合、新法の下では、賃借人が水漏れ修理を管理会社やオーナーに相談なく修理をした場合でも、オーナーは費用負担する必要があります。

原状回復の範囲と敷金の明確化

Q.賃借人退去後、タバコの焼けコゲでカーペットに穴があいていました。張替え費用としては敷金を充てたいのですが、元居住者は「普通に生活していただけだから大家が負担すべき」と主張します。この点で新旧民法は変わるのでしょうか?

A.タバコの焼けコゲについては、従来でも改正後でも変わりはなく、賃借人負担として敷金を充当できます。

 従来は明渡時の原状回復の範囲について、規定はありません。また、敷金についても規定はありませんでした。

 新法は、原状回復の範囲につき、賃借人は賃借物に生じた損傷がある場合は、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負うとの規定をおきました。また、損傷のうち、通常の使用収益によって生じた損耗及び経年変化を除くものと明示されています。この点、国土交通省からガイドラインが示されていますが、民法に入ったので、これに反する合意がされても、賃借人が個人の場合、消費者契約法上、無効となる場合がでてきます。

 次に、敷金については、いかなる名目によるかを問わず、賃料その他の賃借人の賃貸人に交付する金銭を言うものとしました。これも従前の判例や取引実績から離れるものではありません。

 事案のタバコの焼けコゲは、通常の使用収益によって生じた損耗とも経年変化によるものともいえず、補修の費用が賃借人負担とすることになります。費用相当の債務を敷金で充当することも許されることになります。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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