マンションの空き住戸問題 ★事前対策編★
夏季休暇前半に父として夫として夏の思い出作りという重大責務を完遂し、後半は家飲みしならがブログを書いている、分譲担当「T」です。
数か月に渡って「マンション空き住戸問題」をご紹介してきましたが、住戸をどう利用するかは基本的には所有者の判断に委ねられていますので、管理組合様にとって空き住戸問題はいつでも悩みの種として持ち続けなければなりませんが、やはり発生しないのが一番です!
ですが、空き住戸の発生や増加はマンション全体の管理へも影響を及ぼす事を重要視して、管理組合様としても空き住戸の発生には関心をもつ必要があると感じます。
シリーズ完結編として、将来的なリスクマネジメントとなる“発生させない”為の事前対策として検討できそうな案件をご紹介してみます。
住宅としての価値の向上
大規模修繕工事を定期的に計画しながら共用部分の改修工事を実施し、建物の機能・美観を維持することや、レベルアップの為の改善工事を実施し高経年マンションについても現在の一般的な水準近くまで引き上げる事など、マンション全体の資産価値の向上方策を検討する。
また、インターネット環境整備やオートロックと連携した宅配ボックス設置、電気自動車充電やカーシェアリングの導入など、現在の生活スタイルに合わせた設備環境を整える事も資産価値向上につながる検討課題となります。
利用・処分に関する助言
空き家を利用・処分したいと考えていても、それを実現する為の知識等が区分所有者に不足しているために放置している例もあると考えられます。
このため、管理組合として中立的な立場から区分所有者に対する助言や情報提供を行うことや、専門家を紹介する取り組みも検討できます。
例1)リバースモーゲージ
区分所有者が所有不動産を担保に資金の融資を受け、死亡時に相続人が一括して返済する制度。制度利用時に推定相続人の事前承諾を条件としているものが多く、相続人が明らかで紛争予防の効果が期待できます。
例2)リースバック
所有・居住している住戸を第三者に売却し、新たな区分所有者から賃貸して引き続き居住し続ける方法。賃借人(前区分所有者)が死亡してた場合でも、住戸の所有権は相続対象にならないため、相続トラブルからの空き住戸の発生予防になるとも考えられます。
他にも非現実的だと思いますが、
「利用用途の拡大」
管理規約の用法制限を変更して居住用途以外にも宿泊施設・福祉施設・保育所・学習塾等での利用も可とする
「相続想定した事前対応」
個人情報取得に当たるため強制しないことや死亡後に相続不明な場合のみ開封するなど管理規約に位置付けた工夫が必要ですが、区分所有者死亡後の請求先を把握しておくために、推定相続人を事前に届出してもらう
という対策も考えられなくはありませんが、やはり管理組合様として対応できる範囲は限定的かもしれません。
それでも今後も居住者の高齢化や相続トラブルが増加することは安易に予想されますので、管理会社としていつでも問題に取り組む管理組合様の参考となれる準備はしておく必要があると感じます。
関連した記事を読む
- 2024/11/20
- 2024/11/15
- 2024/11/11
- 2024/11/05