「ITを活用した総会の実施ガイドライン」について
管理スタッフOです。(←イニシャルでオーです。)
今年も残すところあとわずかとなりました。お世話になった皆様には感謝申しあげます。
「一期一会」を大切に、来年も社員一丸となって精進してまいりますので何卒宜しくお願い申しあげます。
さて、今回のテーマは、マンション管理業協会より、「マンション管理組合におけるITを活用した総会の実施ガイドライン」が策定されましたので概要をご紹介致します。
以前(2020年6月30日)の私のブログで「IT活用による総会の開催」についてご紹介させて頂きましたが、その当時は明確となっていなかった法的・実務的論点が整理され、ガイドラインとしてまとめられました。
尚、ガイドラインの目的については、「ITを活用した総会」が望ましいという方向性を提示するものではなく、あくまでも管理組合が総会の在り方を検討するときの追加的な選択を提供することが目的とされております。
1.はじめに
ガイドラインでは以下2パターンの総会方式について法的・実務的論点を明らかにしております。
【リアル+オンライン併用型総会】
物理的に存在する会場において、区分所有者等が一堂に会する「リアル総会」と、IT等を活用して遠隔参加する「オンライン総会」を併用する形態
【オンライン総会】
「リアル総会」を開催せず、区分所有者等がすべて遠隔参加する形態
2.ガイドラインの法的・実務的論点と考え方
(1)リアル+オンライン併用型総会の場合
ア.オンライン出席区分所有者の出席並びに議決権行使の取扱い
■リアル総会の開催場所と各区分所有者との間で情報伝達の双方向性と既時性が確保されている環境であれば、総会の出席者とし、その場で議決権を行使したものと取扱うことも可能であると考える。
■オンライン出席区分所有者の議決権行使方法としては、少数であれば画面を通じた挙手による方法や、チャット機能や投票システムを利用して賛否の記録を残す方法も考えられる。
イ.オンライン出席者(区分所有者・代理人)の本人確認
■オンライン出席区分所有者の本人確認については、基本的にリアル総会と同様の取扱いを取ることが相当と考えられ、適切な本人確認の方法を選択し、実施することが望ましい。
■オンライン出席する代理人の本人確認についても、現状の実務を踏まえ、事後の紛争の発生を防止するとの観点から、適切な本人確認の方法を選択し、実施することが望ましい。
ウ.オンライン出席区分所有者からの質問の取扱い
■質問権の濫用行為により議事運営が妨害されるといった行為への対策としてリアル総会同様、画面を通じて挙手又はWEB会議システム等の挙手機能等を使って質問の意思を示し、議長の采配により質問者を指名することについて、あらかじめ運営ルールとして定め、招集通知やWEB上で通知する。
■オンライン区分所有者より、テキストで質問を受けることを可能とする場合、1人が提出できる質問回数や文字数、送信期限などの事務処理上の制約や、質問を取り上げる際の考え方、不適切な内容は取り上げないといった考え方等について、あらかじめ運営ルールとして定め、招集通知やWEB上で通知する。
エ.通信障害等への対応
(ア)予めの通信障害対策
■招集者側の合理的な範囲において導入可能なサイバーセキュリティ対策
■通信障害が起こり得ることの事前通知
■区分所有者が総会にアクセスするために必要となる環境・アクセス手順についての通知
(イ)通信障害が発生し、出席又は決議への参加が不可能となった場合の発生段階・規模ごとの取扱い
【総会の開催前に通信障害が発生した場合】
■大規模な通信障害:総会やり直し
■一部アクセス不可:区分所有者側の問題であれば欠席扱いとするが、開催途中で参加可能となった場合は、その審議より出席扱いとする。
【総会の開会後の議案審議中に通信障害が発生した場合】
■大規模な通信障害:復旧の目途が立たなければ、決議のやり直し(=総会のやり直し)
■一部アクセス不可:区分所有者側の問題であれば当該決議について定足数にカウントせず、通信が復旧した後の議案審議より、改めて定足数にカウントし決議の参加とする。
(ウ)通信障害発生時に備え、補完的な手段を持ち合わせることに加え、以下のような対応も考えられる。
■通信障害により参加が困難になった場合の連絡手段等を確保しておくことが望ましい(チャット機能の活用等)
■オンライン出席者の議決権行使により、決議要件(過半数、3/4以上等)が充足することも想定されるため、一部の区分所有者側が決議に参加できなかった場合、通信が安定するのを待ち、開催途中に参加可能となれば改めてその議案に対して決議を採る方法も考えられる。
(2)オンライン総会の場合
ア.開催場所の考え方について
■オンライン総会を開催する場合、日時・会議の目的たる事項に加え、開催方法(オンライン形式等)を記載した招集通知を行い、オンライン出席予定者に対して、当日の出席方法(URLやログインID・PW等)を案内することが考えられる。
イ.開催手法の選択について
■総会の開催手法については、議案の内容や管理組合の規模、IT環境の発展段階及び、IT格差を含む区分所有者の構成等の状況を踏まえて、各管理組合において協議し、望ましい手法を採用することが望まれる。
■全ての区分所有者の権利ないし利益として、リアル会場への出席の機会を失わないよう配慮することが必要
■IT格差への配慮の観点から、招集者側での環境構築(パソコンの設置、会場準備等)や、その操作につき助力することで、全区分所有者の権利を確保することも考えられるが、その労力や費用等に留意し。事前に管理組合内で協議しておくことが望ましいと考える。
3.最後に
上記の通りガイドラインが示されましたが、「オンライン開催の環境整備」や「IT格差」等への対応について、管理組合役員のIT活用知識の充足や、運用費用面についても管理組合として難しい検討課題は残ると思います。
私の個人的な考えとして、まずは「リアル総会」にWEB傍聴を取り入れることから始め、軌道に乗った後に必要に応じて「リアル+オンライン併用型総会」へ移行することが望ましいのではないかと考えます。
今後のIT技術の発展により、もっと簡単に「オンライン総会」が開催できる未来が来るかもしれません。日々変化していく技術の発展等にもアンテナを張り情報収集を怠らず、皆様に少しでも有益な情報提供ができるよう、来年も精進してまいります。
来年も宜しくお願い致します。
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