空室対策はオーナーごとに異なる その①
あるオーナーから相談を受けました。その事例を紹介いたしましょう。
そのオーナーさんは、築18年の木造アパートを所有されています。7万5千円で募集中で10戸のうち4戸空いています。「どうすればいいか」と相談されました。
実はこれだけで、すぐに答えることができませんでした。そのオーナーさんが「どうしたい」のか分からないからです。
「エッ、部屋を埋めたいのに決まっているじゃない」と思うかもしれませんが、そうでしょうか? オーナーさんは、ただ部屋を埋めることが「賃貸経営の目的」なのでしょうか。
オーナーさんには
・収益を増やしたい
・地域で誇れるような良質な物件を所有したい
・7年後に取り壊したい
・キャッシュフローを改善させて、もう一棟所有したい などそれぞれに、いろいろな目的があるはずです。
部屋を埋めるのは「そのため」の手段のひとつではありますが、目的ではありません。目的によっては、「部屋を埋める方法」が異なるのです。
ですから、オーナーさんの「どうしたいのか」をお聞きしないと、正しい答えが出てきません。そこで、少し実態を整理してみました。
原状の分析をします
7万5千円で6戸入居しているなら、月の収入は45万円です。
「毎月の運営費はどれくらいですか?」と聞いたら「15万くらい」という返事でした。差し引くと残りは30万円になります。これが純利益で、「賃貸経営の儲け」です
ね。ローンが7 年残っていて、毎月の支払いが2 8 万円ですから、手元に残るのは2万円です。これではギリギリですね。
ちなみに、満室だったら、月の収入は75万円になります。これを「あるべき収入」と名付けます。そして、空室によるロスが4室で30万円あります。
オーナーさんの「どうしたらいいか」という問いかけは、「この状況をどう改善したらいいか」という声なんだと思います。
・収益を増やしたいのか
・地域で誇れるような良質な物件を所有したいのか
・7年後に取り壊したいのか
・キャッシュフローを改善させて、もう一棟所有したいのか・・・・
元々の賃貸経営の目的を確認しながら、答えを探す必要があります。
「家賃の値下げ」で対応した場合
部屋を埋める、ひとつの確実な方法として「家賃を下げる、相場に合わせる」という選択があります。1万円下げて6万5千円で募集すれば、きっと決まるでしょう。
ただしこの選択は、他の部屋も6万5千円に近付くことを承知していただく必要があります。インターネットで募集するので、新しい家賃を居住中の借主さんに隠しておくことはできません。すぐに交渉が入るか、更新のときに値下げ交渉が入るでしょうし、退去
すれば次の家賃は下がります。ある程度の時間が過ぎたら、家賃はすべて6万5千円になる覚悟は必要です。
先ほどの計算式に当てはめてみましょう。6万5千円に下げると満室時の家賃収
入は65万円です。空室率が改善されて15%程度なら空室ロスは10万円となり実収入は55万円です。
運営費が変わらず15万なら、残りは40万の純利益となります。ローンを返しても12万円の現金が残ります。この方法なら、部屋も埋まりますし、収益も増えるし、7年後に取り壊すなら「いい方法」だと思います。オーナーの目的が「そうなら」これも処方箋
のひとつです。
では、他の処方箋はないでしょうか?それは、次回へのお楽しみとさせて頂きます。
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