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2020年08月26日
賃貸経営まめ知識

繁忙期の空室対策 ①

 賃貸には繁忙期と閑散期があるとよく言われます。繁忙期とは春(1月~3月)と秋(9月と10月)の期間で、この時期に大量の空室が供給されます。理由のひとつは、新築物件がこの時期に合わせて完成することです。賃貸物件の建築を計画するときは、完成は3月10日~25日頃に標準を合わせます。卒業や転勤が多いので「退室する借主が多い」のも、空室供給が増える理由のひとつです。そして、多くの入居希望者が物件を探すのもこの時期です。つまり空室の「供給」と入居希望者の「需要」が極端に多くなる時期なのです。

 客席数の多い人気レストランのランチタイムのようなものです。だから忙しいので繁忙期と言います。仲介会社は物件の案内と契約に、管理会社は管理物件の退去と募集に大忙しです。繁忙期と言うのは不動産会社が商売をする上で付けた名称です。

 でも、オーナーにとっても無関係ではありません。繁忙期に合わせた空室対策を心掛ける必要があるからです。

多くの入居希望者が殺到する

 まず最初に着目すべきは「多くの入居希望者が殺到する」という事実です。

 空室対策の極意というものがあるとすれば、それは「退室を防ぐこと」でしょう。しかし退室を「ゼロ」にはできません。

 ゼロに出来ないなら「退室時期をコントロール」することは出来ないでしょうか。

 ご存じの通り、基本的には「いつ引っ越すか」は借主が決めることです。第三者が強制力を及ぼすことは難しいですね。でも「オーナーの希望」を伝えておくことは無意味ではありません。そのために「仕掛ける手段」がゼロでもありません。では、どのタイミングが空室対策にとって好都合なのでしょうか。それは繁忙期のはじまりの時期です。たとえば12月末や1月初めに退室してくれたら、1年で最も多く入居希望者が動く時期に募集活動することができます。3月までに多くの入居希望者に部屋を見ていただくことが可能です。退室が3月に入ってからでは、その時間が短かすぎますね。まして繁忙期以外の時期に退室されると困ってしまいます。

お願いしてみましょう

 もし借主が大学生なら、2年生と4年生は3月末の退室の可能性が高いのは誰でも分かります。2年生は学生生活に慣れ、余裕もでき、部屋の広さや、アルバイト先に近い便利さを求めて住み替えを考えるタイミングです。4年生は卒業なので、就職や郷里に帰るタイミングとなります。この時期の2年生と4年生は動くことが分かっているのですから、オーナーは前年の暮頃に「退室の予定があるかどうか」を尋ねるでしょう。そして退室の予定がある場合は次の2点を依頼するべきでしょう。

 まず「出来るだけ引越日を早めてもらう」という依頼です。退室が3月末では最も悪いタイミングとなってしまいます。もし借主がもっと広い部屋や就職先の近くに住み替えるにしても、1月頃には次の部屋を探し始めているはずです。オーナーの意向が伝われば、引越しの日程は早めてくれることもあるでしょう。その際に、早期の退室に協力してくれる借主に、何らかのサービスを提供する手段もあります。サービスとは、退去時のルームクリーニング費用負担を免除するとか、1月中の退去なら当月分の賃料を免除するとか、もし借主が故意・過失で部屋を汚したり傷めていたら損害賠償請求を免除してあげる、
などです。このようなサービスの提供がなく「ただお願いする」だけでも効果はゼロではないはずです。日頃の「付き合い」が大切ですね。

 つぎに「入居中の内見を了解してもらう」というお願いです。もし1月中の明け渡しに同意してもらえない場合でも、入居中にお客様に室内を見ていただくことには同意してもらいたいのです。室内を見ていただければ、借主が入居中でも営業活動することが可能と
なります。そのためには入居時にその説明と了解を得ておくことです。

 契約書(別紙の合意書でも)にも明示しておきます。もちろん、契約書に書いてあっても借主から拒否されたら強制力はありません。でも事前の説明と契約書の明示があれば、同意してくれるケースは多くなります。「いつでも案内に応じる」という条件では抵抗があるかもしれません。内見は「土日祭日の午後1時から5時に限る」と制限したり、「前日までに連絡すること」を条件とするなど、条項の文言を検討する必要はあるでしょう。
この2つの依頼は借主が学生でなくても応用できます。特に「内見を了解してもらう」ことは、すべての借主に応用できます。

解除通知期間を利用する

 退室時期をコントロールする方法として「借主の契約解除通知に関する取り決め」を利用する方法があります。契約書には「借主は〇ヶ月前の通告によって契約を解除できる」という取り決めされているはずですね。全国的には1ヶ月前が多いでしょう。この取り決めによって借主は1ヶ月前の通告で契約解除ができます。でもこれは借家法で定められた強行規定ではありません(定期借家契約には1ヶ月前の規定があります)。貸主・借主が任意に定めれば、その取り決めが有効です。つまり特約に1ヶ月前と書いてあるから1ヶ月前に解除できるのです。3ヶ月前と書いてあれば、3ヶ月前に通知するか3ヶ月分の違
約金を支払わないと借主は途中解除はできません。もしその記述がなければ借主は途中解約はできないのです。(貸主は当然に途中解約できません)

 この解除通知期間を利用してコントロールする方法です。たとえば契約書の特約として「借主は2ヶ月前に通知することによって契約を解除できる。ただし、1月8月9月12月を解約月とする場合に限って1ヶ月前の通知で契約を解除できる。」このような取り決めをすることによって、少しでもコントロールすることが出来るのではないでしょうか。

 その他、着目すべき点もあるのですが、少々長くなってしますので、続きは明日のブログとさせて頂きます。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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