大規模修繕工事・瑕疵担保責任保険って?
桜も葉桜となり、だいぶ暖かくなってきて、季節が進んだ感じがしますね。
この春からサイズ大きめ服にチャレンジしよーと思っている、分譲担当「T」です。(アラフィフには結構な勇気を出した決断ですよ…(´゚д゚`)
さて、今回は最近スタンダードになってきている大規模修繕工事に対するかし保険について調べてみました。
瑕疵(かし)とは何か?
不動産業界ではしばしば耳にする言葉ですが、実は2020年の民法改正により民法から「瑕疵」という文言が削除されました。その代わり瑕疵担保履行法などの法律に「瑕疵」の定義を置きました。
そこでは「瑕疵」とは“種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう”とあり、大規模修繕工事においては工事の種類・品質について、契約時に約束されていたものと異なることが瑕疵になります。
大規模かし保険のメリットと効果
①品質の向上に寄与
施工業者は、各保険法人が定める「設計施工基準」に適合する施工を行う必要があります。第三者(一級建築士等)による現場検査を実施します。
②工事発注者(管理組合)が保険金を請求できるケースがある
施工業者が倒産した場合は、工事発注者(管理組合)が保険金を直接請求できます。
③トラブル回避
「保証は、施工業者が提供する自社保証(1年~10年)で十分ではないか?」、「施工業者の保証があれば、何かあっても施工業者が無償で補修してくれるのだから、かし保険は不要ではないか?」という声も聞きます。
大きな事故が生じた場合に施工箇所と不具合との因果関係を盾に補修に応じないケースや、不十分な補修手段を採用されるケースがあったり、そもそも10年後にその施工業者が存続している保証もありません。
大規模かし保険は、こういった懸念やトラブルを回避する効果が期待できます。
大規模かし保険の注意事項
①費用負担
大規模かし保険の保険料は、加入手続きをした施工業者が管理組合に請求するのが一般的です。前述の工事発注者(管理組合)のメリットに対しその対価を支払う感じです。
②申し込み忘れや証券発行忘れ
大規模かし保険の申し込みタイミングは「工事の着工前」ですが、この時期の施工業者は多忙な為、申し込み忘れが時々発生します。工事中に検査を行うルールであるため、タイミングを逃すと加入できません。
また、検査で指摘があった場合には保険証券は発行されません。それが解消した後に施工業者には「保険証券」、工事発注者(管理組合)には「保険付保証明書」が届きます。
管理組合役員は1年~2年で交代することが多いので紛失しないよう留意が必要です。
③加入の検討と記録
施工業者が加入する保険ではありますが、その費用は工事発注者(管理組合)負担であることや、保険加入が入札条件にもなり得ることから、理事会や修繕委員会で加入について検討した経緯を各議事録等に記載し、後日トラブルに発展した場合に確認できるようにしておく備えも大切です。
④大規模かし保険は損害保険会社で扱っていない
瑕疵担保責任保険法人は、国土交通大臣が指定します。住宅向け瑕疵保険は、この指定された保険法人しか取り扱うことができません。保険法人は現時点で日本に5社ありますが、損害保険会社とは異なる存在です。
⑤保険契約者保護の仕組みがある
住宅向け瑕疵保険制度は契約者保護の仕組みとして、保険法人が破綻(破産)した場合でも法律によって、国土交通大臣がその保険契約の全部を別の保険法人に承継するよう指定する仕組みがあります。これも安心材料の一つになります。
瑕疵保険を利用している施工業者の探し方
大規模かし保険に加入する施工業者は、予め各保険法人の事業者登録をする必要があります。登録されている施工業者は、各保険法人のHPや一般社団法人瑕疵担保責任保険協会のHPで、保険利用の実績数などと合わせて掲載しています。
良い大規模修繕工事とするために施工業者選定に対する事前情報として、かし保険実績数の把握も管理会社のスタンダードとしていく必要がありそうです。
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