分譲マンションにおける『孤立死』と『認知症』の問題について
今年も残り1ヶ月となります。今年は年始から排水詰り対応でスタートし、本当に漏水事故が多かった1年でした。来年はもう少し穏やかに過ごしたいなぁ~と考える今日この頃の管理スタッフOです。(←イニシャルでオーです。)
さて今回は少し重めの題材です。
高齢化社会の進展に伴い、分譲マンションにおいても『孤立死』と『認知症』の問題は深刻化しており、管理組合や管理会社にとっても、他人事ではありません。
その言葉の意味も含めて、まずは【知ること】から対策の一助になればと思います。
1.『孤立死』とは?
似たような言葉で『孤独死』と表される場合もありますが、『孤立死』と『孤独死』では意味合いが少し違うようですので、以下に紹介いたします。
■『孤立死』とは
家族や近隣住民との関わりがなく、社会から孤立した状態で誰にも看取られることなく亡くなること
■『孤独死』とは
家族や近隣住民と日頃の交流はあるものの何らかの原因で、亡くなる際に誰にも看取られず亡くなること
分譲マンションでは、独居の高齢者が増加していることから、『孤立死』や『孤独死』の発生リスクが高まっています。
『孤立死』や『孤独死』が発見される経緯としては以下のような事例があります。
① 近隣の住民等から「異臭がする」、「コバエが大量発生している」などの相談が入る
② 身内の方から「入居者と連絡が取れない」と相談される
③ 勤務先から「無断欠勤が続いていて連絡が取れない」と相談される
※特に『孤立死』では亡くなってから発見されるまでに時間を要する場合が多く、①のケースで発見される事例を私も何度か経験しております。
『孤立死』や『孤独死』の対策としては、以下のような取り組みが挙げられます。
・定期的な訪問や電話による安否確認
・見守りシステムの導入
・孤立死対策の講習会や研修会の開催
2.『認知症』とは?
認知症とは、脳の機能が低下することで、記憶力や判断力、行動力が低下する病気です。
分譲マンションでは、認知症を発症した高齢者のひとり歩きや、お部屋の中に大量のゴミが放置される等の問題を起こすケースが少なくありません。
認知症の方のひとり歩きは、他の住民に迷惑を与える場合や、交通事故につながる危険もあります。
お部屋の中の大量のゴミ放置は、マンション内の衛生環境悪化や火災等のリスクを高めます。
また、認知症により管理費等の支払いが滞るリスクも増えてきております。
『認知症』の対策としては、以下のような取り組みが挙げられます。
・認知症の理解を深めるための啓発活動
・認知症の早期発見、早期介入のための支援体制の整備
3.管理組合としての対策
分譲マンションにおける『孤立死』と『認知症』の問題については、管理組合や管理会社だけで解決することは非常に困難だと思いますが、地域住民や関係行政とも連携を取り管理組合や管理会社でも出来得ることは何かを考えていくことは大切だと思います。
・地域との繋がりをいかに持っていただくか?
・親族や身内以外の第3者が相談できる窓口等の確認
・何かあった時はどこに連絡をするのか?(緊急連絡先の整備)
また、管理組合としての具体的な対策事例をご紹介いたします。
・『孤立死』の対策として、あるマンションでは、独居の高齢者宅の水道メーターをご本人了承のうえ、管理組合が毎日検針する取り組みをされている事例もございます。
毎日訪問しての安否確認は、する側もされる側も負担になってしまう場合もありますので、上記のような取り組みは非常に参考になります。
・『認知症』の対策としては、管理組合として取り得る対策は現実的に少ないと思いますが、何かあった際の緊急連絡先(ご家族や身内の方等)を整備しておくことは必要かと思います。
令和5年9月に「マンション標準管理委託契約書」の改訂が行われました。その中にも『孤立死』や『認知症』の問題にも触れた内容がありますので、詳細は改めて別のブログで紹介したいと思います。
今回は以上となります。
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