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2020年07月28日
賃貸経営まめ知識

DIY賃貸借

 空室対策には様々な選択肢があります。その選択肢も築年が古くなるにつれて限られてきます。高額をかけてリノベーション工事する方法もありますし、反対に家賃の値下げや募集条件の変更というシンプルな方法で部屋を埋めることも可能でしょう。大家さんの都合に合わせて、管理会社から最善の提案がされていることと思います。

 そんな中で、特に築古物件の空室対策の選択肢として「借主の費用負担で借主の希望通りを提供する」という貸し方も登場しています。国土交通省が勧める「DIY賃貸借」という方法ですが、この普及のハードルとなっているのがDIYに必要な知識や技術の不足です。

 今回は、その知識不足を補ってくれるガイドラインの紹介とともに、「内装制限」という聞きなれない言葉について解説いたします。

そもそも内装制限とは何なのか!?

 内装制限とは、万一火災が発生した際に壁紙などの内装材が燃え広がったり有害なガスを発生したりして避難の妨げにならないよう、内装材の燃えにくさなどを規定しているルールのことです。このルールは建物の用途や規模で異なり、例えば劇場や病院、大型店舗など万一の火災時に危険性が高い建物は厳しくなっていて、アパート・マンション等の共同住宅も含まれてます。

 内装制限のルールでは、内装に使って良い壁紙などの防火性能が定められています。防火性能には3種類あり、燃えにくい順番に、不燃材料、準不燃材料、難燃材料と決められています。万一の火災の時に避難する時間を稼ぐため、危険度に応じてより燃えにくい材料を使うことが決められているのです。火は上に向かって燃え広がりますので、壁と天井の内装材には規定がありますが床材にはありません。また、例えば同じ2階建アパートの住戸でも、101号室は厳しく201号室は緩かったりもします。なぜかというと、101で火災が起きた場合は上階の201にも被害が及びますが、201で火災が起きた場合は上に住戸がないので、すぐには被害が広がらないからです。

 内装制限のルールは何の法律で決まっているのかというと、建築基準法と消防法です。また、都道府県の火災予防条例によっても異なってきます。これらは新築や増改築の建築設計の際に必須の知識となりますが、それは一級建築士などの専門家の仕事です。日本の賃貸業界は、「法に則ってきちんと完成している」建物を「退去があったら新築の状態を守って原状回復」してきた訳ですから、大家さんが内装制限に詳しくなくても何の問題もなかったのです。

「DIYしたい」という賃貸借主はいるのか?

 しかし最近は状況が少し変わってきました。「賃貸住宅でも内装に手を入れたい」という入居者ニーズを無視できなくなってきたのです。芸能人が電動ドライバーなどの工具を手に室内の壁に棚をつけたり、壁にペンキを塗ったりするテレビ番組の影響でDIYが人気となり、DIY関連用品の売れ行きは今や1兆円を超え、まだまだ増加中とのこと。100円ショップのDIYコーナーを覗けば若い女性がたくさんいてペンキなどを購入しています。この傾向は賃貸入居者向けのアンケート結果にも現れています。リクルート住まいカンパニーが2018年5月に実施した「賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」では、DIYをしてみたい人が50%を超えて、実際にDIYをやったことがある人が19.2%という結果が出ているというから驚きです。

 こうしたブームに乗り、賃貸住宅に住んでいても原状回復できる範囲でDIYをする人が少しずつ増加してきています。DIY商材店や100円ショップでは、「賃貸でも貼ってはがせる壁紙用の糊」「壁紙の上から貼れる幅広のマスキングテープ」などが売られ始めています。しかし入居者さんのほとんどは建築の知識などありませんので、「どんなDIYならば実施しても大丈夫なのか?」を正しく判断するのは難しいです。管理会社もまた、必要な知識を入居者に与えたり監督するほどの知識と経験を持っているところは多くありません。DIYをする入居者さんが、内装制限のある場所に燃えやすい壁紙シールを貼ったり、コンロのまわりに100円ショップで買った木製のすのこを貼るような危険なDIYも増えていて安全性の面から問題が出てきています。もし共同住宅で火災にでもなれば、大家さんの財産である建物に被害を及ぼすだけでなく、多くの人命にも関わってしまいます。

ガイドラインで知識が得られるのか?

 これらの問題を解決するため、国土交通省住宅局から「賃貸DIYガイドライン Ver.1.1」が公開されました。作成したのは「HEAD研究会賃貸DIYワーキンググループ」という専門家集団です。一級建築士などの専門家でも間違うほど難解な内装制限についての知識を分かりやすくまとめられています。以下のサイトから、誰でも無償でダウンロードすることができます。

http://www.head-sos.jp/

 ページの右側中ほどの「賃貸DIYガイドライン ダウンロード」という小さなバナーをクリックしていただくと、67ページの見やすいカラーのデータが手に入ります。

 このガイドラインでは内装制限を調べるのにフローチャート形式を採用しています。その住戸にどのようなDIYが可能なのかを建築の知識がなくても簡単に調べることが出来る内容です。これは賃貸住宅でもDIYしたいという入居者さんが安全なDIYを学べるだけでなく、DIY可能な賃貸住宅に取り組みたい大家さんや管理会社にも役立つものとなっています。実際に、このガイドラインを参考にしながらDIY可能な賃貸借契約の仕組みを作って、きちんと許可を得てからDIY賃貸借をされる大家さんも出始めてきました。ガイドラインの内容を把握して、きちんと申請をすることで危険なDIYを未然に防ぐことができ、入居者さんへの安全教育にもなるということです。DIY賃貸借を採用するかどうかは別として、このガイドラインを読んで安全な内装の知識を得ておくことは無駄ではありません。一度 DIY賃貸に前向きな管理会社に相談されるのもよいと思います。

 DIY賃貸にご興味のあるオーナー様は中京ハウジング(株)にお問合せ下さい。

この記事を書いた人
東原 相信 トウハラ ソウシン
東原 相信
不動産を持ち続けていればどんどん価値が上がるという「不動産神話」はすでに過去のものとなり、空室の増加や賃料の下落などに悩むオーナーの声をよく耳にします。つまり、賃貸経営は事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。私は、CPMとしての知識と経験で全力でオーナーの賃貸経営のサポートをいたします。
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