分譲マンションの資産価値を守る!『予防保全』と『事後保全』の考え方
分譲マンションにお住まいの皆さま、こんにちは。管理スタッフOです。(←イニシャルでオーです。)
皆さまの大切な資産であるマンションの価値を維持し、より快適な暮らしをサポートするため、日々の管理業務に社員一同尽力しております。
さて、今回は、マンションの長期的な維持管理において非常に重要な2つの考え方である、『予防保全』と『事後保全』について、管理会社の視点からご説明したいと思います。
1. 『予防保全』と『事後保全』とは?
マンションの建物や設備は、長い年月を経るにつれて必ず劣化・不具合が発生します。その際にどのような対応を取るか、大きく2つの考え方があります。
■予防保全:不具合が起こる前に、計画的に点検、修繕、交換を行う方法。
■事後保全:不具合が発生してから、その都度対応を行う方法。
管理組合の皆さまにとって「どちらが望ましいか」という判断は難しいところですが、管理会社の立場からそれぞれの特徴を整理します。
2. 各保全方法のメリット・デメリット
『予防保全』
不具合が顕在化する前に、点検結果や耐用年数を目安に計画的な修繕・部品交換を行う方法です。
【メリット】
・大きな故障や事故を未然に防ぐことができる。
・長期的な修繕コストを平準化し、資金計画を安定させやすい。
・建物の寿命が延び、資産価値の維持・向上につながる。
【デメリット】
・短期的な費用負担が事後保全に比べて増える場合がある。
・「まだ使えるのに交換するのか」という住民の理解を得る努力が必要になる。
『事後保全』
不具合が発生してから修理や交換を行う方法です。
【メリット】
・問題が起こるまで費用が発生しないため、初期費用を抑えられる。
・設備を寿命まで使い切ることができる。
【デメリット】
・突発的なトラブル対応が必要になり、住民の安全や生活に支障をきたすリスクがある。
・緊急工事となるため費用が割高になったり、業者の選定が十分にできない可能性がある。
・軽微な不具合が放置されることで、より深刻なダメージに発展し、長期的には費用増につながる可能性がある。
3. 事例ごとの『予防保全』と『事後保全』の比較
事例①:給水ポンプ
【予防保全で対応した場合】
●対応内容
築20年、定期点検で異音や振動が確認されたため、計画的にポンプを交換。
●結果
・コスト: 長期修繕計画に基づき、あらかじめ費用を確保していたため、資金計画に影響なし。相見積もりを取るなど、コストを抑えた工事が可能だった。
・リスク: ポンプの突然の故障による断水を未然に防ぎ、住民の生活への影響をゼロにできた。
・住民の満足度: 計画的な工事で安心感が高まり、管理への信頼を得られた。
【事後保全で対応した場合】
●対応内容
異音や振動を放置し、給水ポンプが完全に故障して断水が発生。
●結果
・コスト: 緊急対応のため、割高な費用が発生した。
・リスク: 住民が数日間にわたり断水生活を余儀なくされ、生活に重大な支障をきたした。突発的な出費となり、修繕積立金からの捻出が困難な場合、臨時徴収や借入が必要になるリスクがあった。
・住民の不満: 「なぜ事前に対応しなかったのか」といった不満やクレームが殺到し、管理会社への信頼が損なわれる結果となった。
事例②:エレベーター制御盤
【予防保全で対応した場合】
●対応内容
築20年頃に制御盤の耐用年数や将来的な部品供給停止リスクを考慮し、計画的に交換工事を実施。
●結果
・コスト: 長期修繕計画に基づいて費用を積み立てていたため、資金計画への影響は軽微。複数社から見積もりを取るなど、費用を抑えた工事が可能だった。
・リスク: エレベーターが突然停止するリスクを回避し、住民の安全と快適な生活を確保できた。工事期間も事前に周知し、住民の理解を得ながらスムーズに進められた。
・住民の満足度: 不便や不安を感じることがなく、計画的な管理により安心感を得られた。
【事後保全で対応した場合】
●対応内容
制御盤の故障によりエレベーターが停止してから、交換工事を手配。
●結果
・コスト: 修理部品が製造中止だったため、高額な全面交換が必要となった。緊急対応のため費用が割高となり、結果的に予防保全より負担が重くなった。
・リスク: 工事完了までに数週間を要し、住民、特に高齢者や小さな子どもがいる世帯は、階段利用を強いられる不便な生活が続いた。
・住民の不満: 不便と不満が大きく、管理に対する不信感が高まった。
これらの比較から、『予防保全』は事前の費用負担があるものの、長期的なコストの安定化、住民の安全と快適性の確保、そして資産価値の維持に大きく貢献することが分かります。一方で、『事後保全』は目先のコストを抑えられる反面、予期せぬ大きな出費や、住民の生活に支障をきたすリスクを伴うと言えるでしょう。
4. 長期修繕計画とIoTの活用
分譲マンションでは、将来の修繕に備えて長期修繕計画に基づき修繕積立金を積み立てています。 予防保全型の計画では、耐用年数を目安に更新時期を定めるため、計画的に積立金を充当でき、資金不足のリスクを避けられます。一方、事後保全を前提とした場合、想定外の緊急費用が発生し、積立金だけでは不足するケースも出てきます。
また、近年ではIoT技術を活用した設備の遠隔監視が広がりつつあります。給水ポンプの稼働状況やエレベーターのデータを常時監視することで、異常を早期に察知し、より科学的根拠に基づいた予防保全が可能になりつつあります。今後は、このようなデータを活用することで、さらに合理的で柔軟な保全計画が実現していくことを期待しています。
5. 管理会社から管理組合へのアドバイス
管理組合が保全方針を検討する際には、以下の点を意識されるとスムーズです。
●優先順位を明確にする
安全・防災・生活インフラに直結する設備は、原則として予防保全を優先する。
●費用とリスクのバランスを取る
「今交換することで増える費用」と「将来のトラブルによる費用増」を比較検討する。
●丁寧な説明を心がける
「まだ使えるのに交換する」という疑問を払拭するため、点検結果や事例を資料等で示すことが大切です。
6. 最後に
私たち管理会社は、専門的な知見と新しい技術を活かし、管理組合の皆さまにとって最適な保全戦略をご提案し続けることが大切だと考えています。
理想は、不具合が発生する直前を見極め、完全に故障する前に予防保全を実施することで、修繕サイクルをできる限り延ばすことです。そのためには、日々の建物・設備管理の中で、小さな変化や初期の異常を見逃さず捉える姿勢が重要だと私たちは考えています。
皆さまのマンションの管理状況について、ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
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