マンション建て替えハードル高いって!
2日目の残りカレーを冷やしカレーうどんにして夏野菜を乗せるのに最近ハマっている、分譲担当「T」です。(一人分でも作っちゃってます(*´з`))
今回は高経年の分譲マンションでどうしても気になってしまう「建て替え」について紹介してみます。
弊社でも最近マンション居住者の高年齢化で自主管理していた管理組合様よりご用命を頂く機会が増えてきており、当然建物に対する高経年化という心配をされておられるかと存じます。
建て替え事例数ってどうなの?
国土交通省発表では令和5年4月時点で、建て替えが実現したマンションは282件に留まっています。
一方、築40年以上のマンションストック数は約125.7万戸、約3.6万棟の分譲マンションがあると仮定でき、282件の事例はストック全体の約0.78%しかありません。
なぜこれほどまでにマンションの建て替え事例が少ないのでしょうか?
建て替えが進まない要因
マンション建て替えには区分所有者の同意形成が不可欠ですが、それを困難に思わせる高いハードル(要因)がしっかりと用意されております。
■区分所有者の経済的負担が大きい
既存建物の解体費用、新建物n建設費用、居住者の仮住まいや引っ越し費用など、建材価格や人件費が年々高騰しており、単純に購入したときと同程度かそれ以上の費用が掛かることが想定されます。
維持修繕用に積み立ててきた金額では建設費用の全てを賄うのは困難なパターンがほとんどだそうです。
■還元率の低下
マンション建て替えにおける「還元率」とは、旧マンションで区分所有していた専有部分面積に対し、建て替え後に無償で取得できる面積の割合を言います。
建て替え後の新マンションで旧マンションと同じ広さの住戸を取得できるならば還元率は100%となります。
自己負担がない代わりに床面積が20%減ってしまう又は同じ面積を取得するために20%に相当する費用を負担しなければならない場合には還元率は80%となります。
国土交通省調査によると、1996年までに竣工した建て替えマンションの平均還元率は156.3%・平均自己負担額は343.5万円でしたが、2012~16年の平均還元率は92.6%・平均自己負担額は1105.9万円でした。
■本人確認や権利確定の困難
区分所有者の高齢化や空き室化が進み、居住率が低下するに伴い、所在不明者が発生するケースが起こりやすくなります。
また、区分所有者の権利確定(誰が所有しているのかを確認する)にあたり、相続手続きが完了していない・個人売買で移転登記がされていないといった問題が発覚することもあります。
マンション建替法の改正~マンション建替円滑化法の改正
■マンション建替法の改正
高経年化マンションには、建築当時は法律に準じていたものの後の法改正により現在の法律に適合しなくなってしまった「既存不適格」が必ずあります。
そのまま使用している分には原則的に是正を求められることは無いのですが、解体して建て直す場合には現在の法律に準じて設計施工する必要があり、旧マンションと同じ条件で新マンションを建て替えることが難しいケースの方が多くなります。
そこで老朽化が進むマンションの増加を受け、耐震性が不足したマンションの建て替えを目的としたマンション建替法の改正がなされ、一定条件を満たす場合には容積率の緩和特例を受けられ、旧マンションよりも住居数を増やして建て替えが可能となり区分所有者の自己負担額を軽減することができるようになりました。
■マンション建替円滑化法の改正
2020年のマンション建替円滑化法改正によって、更に容積率特例を受けられる可能性として「要除却認定」に必要な項目も追加されました。
・火災に対する安全性の不足
・外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
・給排水管の腐食等により著しい衛生上有害となるおそれ
・バリアフリー基準への不適合
調べれば机上では法改正によって建て替えができやすいようになっているかのように感じますが、冒頭での数字通り全然事例が進んでおらず、ハードルが高いのが現状です。
次回は、最近の法改正が実際にどのように建て替え緩和の一躍を担ったのか、机上ではなくこれから現実として迎えなければいけないマンション管理組合様への運営補助となれる知識や実例を調べてみたいと思います。
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