管理者管理方式(第三者管理方式)について
桜も開花し、春ですなぁ~とほっこりする日が増えてきましたね。
そんな気分も束の間、毎年これからの総会シーズンに突入する事を考えると…な管理スタッフOです。(←イニシャルでオーです。)
さて、今回のテーマは、以前より気になっておりました『管理者管理方式』についてのご紹介です。
弊社管理物件での採用事例はまだありませんが、入居者の高齢化や住戸の賃貸化により管理組合役員の担い手不足が問題となりつつあるマンションが増えてきたように感じております。
1.管理者管理方式(第三者管理方式)とは
管理組合運営を専門家である管理会社やマンション管理士等(以下「外部専門家」とします)の第三者に委託する方式であり、外部専門家が理事長や役員に就任し管理組合の運営を行う事で、役員の負担軽減や担い手不足等の問題を解消する事を目的として考えられた方式です。
国交省が想定している管理者管理方式には以下3パターンに分類されます。
(パターン1):理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型
・理事長、副理事長、理事又は監事等に外部専門家が就任する方法
・外部専門家は理事会のメンバーとなり、区分所有者である他の役員と共に管理組合の運営を行う
[特徴:理事会あり / 管理者=理事長 / 外部専門家は「役員」(理事又は監事)に就任]
(パターン2):外部管理者理事会監督型
・外部専門家が管理者となり、理事会は監事的立場とする方法
・監視する立場の理事会の役員に、さらに別の外部専門家を選任することも考えられる
[特徴:理事会あり / 管理者≠理事長 / 外部専門家は役員ではない / 外部専門家は「管理者」に就任]
(パターン3):外部管理者総会監督型
・理事会を廃止して、マンション管理士等の専門家が管理者として就任する方法
・区分所有者からは監事を選任して監視、もしくは監査法人等の外部監査を義務づける
・理事会そのものがなくなる為、区分所有者が理事となる必要はなくなる
[特徴:理事会なし / 理事長がいない / 外部専門家は役員ではない / 外部専門家は「管理者」に就任]
※全てのパターンにおいて最終的な意思決定機関は総会であり、その役割は大変重要となります。
2.管理者管理方式のメリットとデメリット
(1)メリット
・理事の負担が減る
・区分所有者の負担が減る
・専門家による管理組合運営が可能となる
・諸問題の意思決定(問題提議)がスムーズに行える
(2)デメリット
・外部専門家への報酬支払による費用負担が必要
・外部専門家の管理組合運営に関する利益相反の懸念(不必要な工事や、区分所有者が望まない管理運営が行われる等)
・外部専門家に依頼した場合の業務監視体制が必要(監査業務を行う為の役員の負担や、監査業務を会計士等の外部に委託した場合の費用負担増)
・外部専門家に依頼する為の理解(合意形成)が得にくい(資産管理等の管理運営を委ねる事に対する抵抗)
3.外部専門家の委託先
外部専門家を役員として選任を考えているマンションでは、「役員の担い手不足」や「管理運営において専門的知識が必要」等の問題を抱えていると思われます。
上記のような問題に応じて、想定される外部専門家としては、以下が考えられます。
・マンション管理会社
・マンション管理士
・NPO法人等のマンション管理組合連合会
・弁護士、税理士、司法書士、建築士などの専門家
4.管理者管理方式導入の流れ
(1)理事会承認
・役員を外部専門家に委託する必要性があるかを検討
・委託先の検討(管理会社 / マンション管理士 / 管理組合連合会 / 弁護士等の専門家)
・委託パターンの検討(①理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型 / ②外部管理者理事会監督型 / ③外部管理者総会監督型)
・外部専門家の監督方法の検討
・外部専門家に委託する際の費用の検討(予算化)
・管理規約改定案の作成
(2)総会承認
管理者管理方式を採用する為には、管理規約の改定が必要となる為、特別決議が必要となります。
5.最後に
今回は管理者管理方式についてご紹介させて頂きましたが、弊社でも実際の実務経験がない為、机上論となってしましますが、今後マンション入居者の高齢化や賃貸率の増加による管理不全の問題等は他人事ではありません。
大前提として「管理組合の運営主体は区分所有者」であります。
管理会社の立場としては出来る限り理事会役員様をサポートし、役員に掛かる負担を極力軽減できるよう引き続き尽力していきます。
それでも外部専門家への委託が必要となった場合の管理組合の相談役として必要な知識を今後も積み重ねていきたいと思います。
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