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2020年08月30日
管理スタッフの日常ブログ!

「分譲マンションの相続放棄」について

管理スタッフOです。(←イニシャルでオーです。)

長い梅雨が明けたと思ったら、猛暑日が続きますね。

新型コロナ対策でのマスク着用と熱中症予防でのマスクの取外し、臨機応変な対応を心がけております。

さて今回は、「分譲マンションの相続放棄」についてお話させて頂きます。
 
最近、弊社管理物件の分譲マンションにて2軒程、区分所有者逝去後に全ての相続人が相続放棄をされる事案が発生致しました。

相続放棄された物件の所有者は故人のままとなり、管理費等を故人に請求しても当然支払われる事は無い為、管理費等滞納額が増える一方です。

このように相続放棄をされた場合、管理組合としてはどうしたら良いのか?をご紹介致します。

1.相続手続きについて

「相続放棄」の説明の前に、まずは相続手続きについて以下簡単にご説明致します。

■相続手続きの流れ

①相続人の調査・・・被相続人(亡くなられた方)の戸籍等により誰が相続人となるか調査
 ↓
②被相続人の財産や負債の調査・・・被相続人の財産や負債を調査
 ↓
③相続方法の選択・・・②の調査結果を基に相続方法を判断

■相続の方法

相続の方法には以下3種類があります。

・単純承認:被相続人の権利義務すべてを無条件で承継する方法
・限定承認:被相続人の財産を限度に債務を負担する方法
・相続放棄:一切の財産や債務を放棄し、初めから相続人ではなくなる方法

※民法では「相続人が相続の開始を知ったときから、熟慮期間(原則3ヶ月)内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と定められており、「限定承認又は相続放棄をしなかったときは単純承認したものとみなす」と定められております。

2.分譲マンションの相続放棄について

それでは本題である「分譲マンションの相続放棄」についてのご説明です。

■相続放棄された分譲マンションの行方

全ての相続人が相続放棄した場合、民法では「相続人の不存在」という状況を想定し、その取扱いが定められており、「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」とされております。(相続財産法人)

この法人の財産を管理する為、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求によって相続財産管理人を選任し、相続財産の管理清算が行われます。

一般的に、分譲マンションの場合であれば、相続財産管理人がマンションを売却(競売)し現金化したうえで相続債権者や受遺者への清算が行われる事となります。

■管理組合の対応

それでは、管理組合として、どのような対応方法があるかというと…

(1)承継者が現れるのを待つ

先の説明の通り、相続放棄されたマンションに、抵当権が設定されているなど、他の利害関係人がいる場合には、その利害関係人が抵当権を実行する為に、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求する可能性があります。

その場合には、管理組合としては、家庭裁判所が相続財産管理人を選任するのを待ってから管理費等の請求をするという手段をとることが可能となります。

管理費等は「先取特権」を有しており、一般債権より優越して請求が可能なのですが、住宅ローンなどの抵当権には劣る為、競売落札価格よりローン残高が大きい場合等は、オーバーローンとなり管理費等を支払ってもらえる可能性は低いと思われます。

一方で、抵当権等の実行により競落人(買受人)が現れた場合には、管理組合としてはその競落人に対して、区分所有法により、買受人は管理費等の滞納の事実を知っていたかどうかに関わりなく、滞納分の支払い義務が生ずることにより、管理費等を請求することが可能となります。

(2)相続財産管理人の申し立て

管理費等の消滅時効期限が迫ってきている等、特別な事情がある場合には、管理組合自身が利害関係者として相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求するということも選択肢としては可能です。

しかし、相続財産管理人を請求するには、被相続人の相続関係を示す戸籍等の収集、書類作成、そして相続財産管理人に支払う報酬額等(20万円~100万円前後)を裁判所に予納する必要があります。

残余財産から上記費用が支払えることが確実であれば、予納金は必要ありませんが、不確実な場合は予納金の支払いが必要となります。

自ら相続財産管理人の選任を請求するには、手続きや費用の負担が大きい為、管理組合の事情等を含め、慎重な検討が必要になると思います。

 
(3)管理組合が部屋を購入する

管理組合が自ら相続放棄された部屋を購入するという選択肢もあります。

本案は、相続財産管理人が選任されたが、最終的に相続人や競落人などの承継者が決まらないような場合で、かつ管理組合として何らかの理由により、取得する必要がある場合に限られる方法でありますが、管理組合にとってのメリットはあまり無い為、現実的な方法とは言えません。

3.まとめ

管理組合の対応としては、上記(1)のように、他の利害関係人が相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求し、新たな承継者が現れるのを待つことが一番現実的な方法ではないかと考えます。

しかしながら、直ぐに相続財産管理人が選任されない場合は、どれぐらいの期間様子を見るべきか、各管理組合での事情により判断が必要と思われます。

補足

■相続人の管理責任

民法では、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」とされております。

つまり、相続放棄をしても、次の相続人が管理を始められるまでは相続放棄をした者が管理を行わなければならないということです。

相続財産が債務超過となっている場合には、後順位の相続人も同様に相続放棄をすることが少なくありませんので、相続放棄をしても、後順位の相続人が相続財産の管理をできるようにはならないので、管理責任がいつまでも残るということになります。

分譲マンションでの管理責任として想定されるのは、管理組合との連絡窓口や、専有部の定期的な点検等が必要になると思われます。

この記事を書いた人
管理スタッフ
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新人スタッフからベテランスタッフまで、お客様の大切な資産をお守りするため、現場で日々奮闘しています。マンションで見かけた場合はお気軽にお声をかけて下さい。
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