義務違反、不法行為への法的措置を考える
TVで猛暑日(35℃)以上の定義を作る必要がある的な話題の中、毎日妻とエアコンの設定温度争いをしている、分譲担当の田中です。
余談で、正式定義ではありませんが天気協会では40℃の日を「酷暑日」と言うそうです…(そんな日が普通になったら地球大丈夫かってホント心配になりますね)
今回はマンション内でのモメゴトについて、具体的な法的措置例を交えながら対処方法を考えてみたいと思います。
モメゴトと言えば、義務違反
分譲マンションの区分所有者には以下のような責務(義務)があります。
・管理規約、総会決議の遵守
・専有部の用途
・対象物件の適正管理
・管理費等の納入 などなど…
はやり一番お目にかかるのは「管理費等の納入」違反となる滞納問題です。
滞納は管理組合の財政に直結する問題であり、区分所有法6条所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たる余地があるとされ問題視されやすいです。
義務違反に対する管理規約規定
管理組合のモメゴトには原則管理規約に沿って対応する事になりますが、標準管理規約に準拠していれば大抵義務違反者へは「区分所有法57~60条に基づき必要な措置を執ることができる」としてあります。
区分所有法57~60条には、
・57条:不法行為の差止め請求
・58条:専有部分の明渡し請求
・59条:専有部分の競売請求
・60条:占有者に対する引渡し請求
が定められており、事案に応じて管理者が原告となり裁判所へ処分を求めます。
実際の裁判例
■東京地裁令和5年5月判決
(1)事案概要
団地建物の区分所有者4名が管理組合理事長の名誉を毀損する文章を建物全戸に配布したとして、区分所有法57条又は管理規約規定に基づき行為の差止め、謝罪文の配布、弁護士費用の支払を求めた
(2)争点
①差止め請求の法的根拠
②ビラ配布による名誉棄損の成否
③違法性阻却事由または責任阻却事由の存否
④本件住宅の正常な管理使用の阻害有無
⑤謝罪文の必要性
⑥弁護士費用の額
(3)判決
①区分所有法57条は団地管理組合へ準拠されない為、認められない。管理規約に基づく行為の差止め・排除又は原状回復に必要な措置の請求は認められる。
②配布した5枚のうち2枚は理事長の社会的評価を低下させる共に人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものと言えるから名誉棄損の不法行為に該当する。
③違法性阻却事由により名誉棄損行為に該当する行為でも違法性がなく不法行為は成立しない事や、責任阻却事由によりその責任が否定されると解されることもある(本事案の場合、5枚中3枚は不法行為とされなかった)
④「当該不法行為が単なる特定個人に対する名誉棄損の域を超えないもので、それにより管理組合業務の遂行や運営に支障が生ずるなどして建物の正常な管理又は使用が阻害されることもない」時は『当該規約上の差止め請求は、管理組合の管理の本旨に反するものとして許されない』という判断基準のもと、上記赤字部分(正常な管理使用に阻害が無い事)の立証責任を不法行為者側に課したところ、裁判所は阻害が無いと認める事はできないと判断。
⑤規約にある「原状回復に必要な措置」は、名誉棄損された個人の名誉を回復する為にとられる措置ではなく、これにより阻害された本件住宅の正常な管理を回復する為にとられる措置と解するのが相当とし、『規約による行為の差止め請求を認容する判決文が住民に周知されることによって住宅管理を回復できるというべき』であり、謝罪文の配布を命じる必要性は認められないと判断。
⑥弁護士費用66万円全額を認定し、違約金として被告ら4名に対し支払いを命じた。(66万÷4=165,000円/一人当たり)
まとめ
法律や規約に定められている事は認められやすいが、謝罪文の要求みたく心象的なことは裁判所がどう判断するかに因るんだということが分かる内容でしたので、義務違反行為や迷惑行為がいかに管理組合運営に支障をきたしているのか等の記録取りや定期的な管理規約の見直し整備が明暗を分ける鍵になるのだと感じました。
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